リーマンショックが発生した2008年は株式市場は凄まじいほど暴落したのですが、2009年からは米国株に関しては、ほぼ右肩あがりに順調に推移してきました。
下記のチャートは1999年から現在までのS&P500の20年チャートです。
見てわかるように、サブプライム問題が明らかになってきたために2007年後半をピークに2008年9月のリーマンショック発生で株価の大暴落、そして2009年3月頃まで下落が続いていました。
2009年3月以降はほぼ順調に上げてきたのですが、最近は実体経済が悪くなってきた可能性があるというようなニュースを見聞きすることが増えてきました。
実体経済が悪くなってきたとなると、やはり今後の株価推移は気になります。
気にしてもどうにもならないのですけどね。
資産の減少は避けられないにしても、できるだけドローダウンを小さくしたいものです。
そのためには、どのようなポートフォリオを作れば効果的なのでしょうか?
株式市場の暴落時は資産の減少は避けられない
株式市場が暴落したときには、全てキャッシュにしておく、または高格付け債券への投資以外に資産の減少は避けられません。
リーマンショックが発生した2008年のアセットクラス別インデックスのリターンを見てもらえばわかります。
- 高格付け債券:Barclay’s U.S. Aggregate Bond Index(5.2%)
- キャッシュ(1.4%)
- 高利回り債券:BofAML US High Yield Master II Index(-26.4%)
- 小型株:Russell 2000 Index(-33.8%)
- 大型株:S&P500(-37.0%)
- REIT:FTSE NAREIT All Equity Index(-37.7%)
- 先進国株:MSCI EAFE Index(-43.1%)
- 新興国株: MSCI Emerging Markets Index(-53.2%)
キャッシュが安全だからといって株式を全部売却しても、いつ株式市場の暴落があるのかはわかりませんし、たいした下げは来なかったなどといった機会損失ということもあり得ます。
では、どうするのがよいのか?
自身のリスク許容度を明確にして、キャッシュの比率を多くするなり、高格付け債券に投資したり、下落しにくいと考えられる株式の投資割合を多くしたりするくらいしか思いつきません。
ヘッジファンドの帝王と呼ばれるレイ・ダリオが考えた個人投資家向けのポートフォリオ戦略について、世界のエリート投資家は何を考えているのか: 「黄金のポートフォリオ」のつくり方で紹介されています。
リーマンショック発生時の2008年のリターンが-3.93%と下落に強いポートフォリオとなっています。
関連記事 レイ・ダリオのオール・シーズンズ戦略からポートフォリオを考える
リーマンショック時の下落率を調べてみた
リーマンショック自体は2008年9月に投資銀行であるリーマン・ブラザーズの経営破たんにより発生しましたが、米国市場の下落は2007年後半から始まっています。
そこで、2008年初頭から多くの銘柄で株価の底打ちがあった2009年3月までの下落率を保有株を中心に調べてみました。
Name | Symbol | 下落率 |
---|---|---|
Altria Group Inc | MO | ー |
Kinder Morgan Inc | KMI | ー |
BHP Billiton Limited (ADR) | BHP | -32.49% |
Merck & Co. Inc | MRK | -53.74% |
Exxon Mobil Corporation | XOM | -24.15% |
Pfizer Inc | PFE | -40.65% |
BP plc (ADR) | BP | -45.69% |
Johnson & Johnson | JNJ | -20.79% |
International Business Machines Corp | IBM | +0.56% |
Phillip Morris International Inc | PM | ー |
AT&T Inc | T | -36.17% |
Unilever plc (ADR) | UL | -47.67% |
Verizon Communications Inc | VZ | -24.3% |
Procter & Gamble Co | PG | -31.70% |
Lockheed Martin Corporation | LMT | -31.15% |
Gilead Sciences Inc | GILD | +3.77% |
Mastercard Inc | MA | -14.28% |
Visa Inc | V | -9.28% |
Walt Disney Co | DIS | -36.14% |
GlaxoSmithKline plc (ADR) | GSK | -41.06% |
American Express Company | AXP | -61.68% |
Nike Inc | NKE | -13.72% |
AbbVie Inc. | ABBV | ー |
Hormel Foods | HRL | -20.07% |
Fastenal | FAST | +2.23% |
Colgate-Palmolive | CL | -24.09% |
McDonald's Corp | MCD | -0.67% |
Vanguard Total Bond Market ETF | BND | -0.75% |
S&P500 | -39.32% |
2008年にPM(フィリップモリス)をスピンオフしたMO(アルトリアグループ)や、2013年にアボットラボラトリーズからスピンオフされたABBV(アッビィ)、2011年に株式公開されたKMIなどは除きました。
S&P500よりも下落率が小さかったのはどんな銘柄?
注意してほしいのは、さきほどの表の下落率は高値からの下落率ではないということ。
あくまでもリーマンショック発生前の2008年初頭から底打ちがあった2009年3月末までのリターンです。
保有株を中心に調べた限りでは、この期間にプラスリターンで終えたのはわずかに3銘柄。何か特殊な事情などがあったのかどうかはわかりませんが…。
- IBM(+0.56%)
- GILD(+3.77%)
- FAST(+2.23%)
しかし、S&P500よりも下落率が小さかった銘柄はわりと数多くありましたが中でも、-20%以内の下落率だったのは下記の3銘柄です。
- MA(-14.28%)
- NKE(-13.72%)
- V(-9.28%)
- MCD(-0.67%)
ディフェンシブ株でもあるマクドナルド(MCD)の安定感が半端ないです!
また、他の3銘柄であるマスターカード、ナイキ、ビザはどれも成長企業ですし、今でも人気があり、投資家からは比較的高い評価を得られている企業です。
こういった企業の下落率が小さかったことは意外でした。
株式市場の暴落時には、高く評価された成長株は叩き売られるとばかり思っていましたから。
参考までにマスターカード(MA)、ナイキ(NKE)、ビザ(V)、マクドナルド(MCD)の高値からの下落率を確認してみましょう。
- V(-48.7%)
- MA(-59.3%)
- NKE(-42.1%)
- MCD(-20.6%)
- S&P500(-53.2%)
2008年に入ってからの最大下落率を調べてみると、どの銘柄も大暴落といってもいいくらい下落していますが、ビザもマスターカードもナイキも下落してからの株価の回復が比較的速いことがわかりました。
こちらでも、マクドナルドの下落率は本当に低いことがわかります。
リーマンショック時に下落率が低かったセクターである生活必需品、一般消費財の主な銘柄について書いています。
関連記事 リーマンショック時に株価が下がりにくかった企業は? 関連記事 リーマンショック時に株価が下がりにくかった企業【一般消費財セクター】
まとめ
ディフェンシブといわれる生活必需品セクターの企業でも、リーマンショックレベルの暴落がくると、かなり下落しますから覚悟は必要です。
やはりBNDのような高格付けの債券をポートフォリオの片隅にでもいれておくと、少しは安心できるのではないでしょうか。
まぁ、次の暴落時にもBNDは下げないという保証はどこにもないのですが。心配であればやはりキャッシュにしておくのが一番安全です。
今回の収穫は、VやMA、NKEといった優良成長株は一時的に下げても回復はそれなりに早いということがわかったことです。
今回の結果を踏まえて、少しポートフォリオの構成を考えることにします。
実際にリーマンショック時に株価が下がりにくかった企業について、セクター別に調査しました。
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[最終更新日]: 2020/02/07