リーマンショック時に株価が下がりにくかった企業【ヘルスケア】

 

ポートフォリオ再考のため、前回のリセッション時の株価推移について調べています。

 

参考までにリーマンショックの発生した2008年の米国株のセクター別リターンでは、生活必需品セクターが下落率は最も小さかったです。

関連記事 リーマンショック時に株価が下がりにくかった企業【生活必需品セクター】

関連記事 リーマンショック時に株価が下がりにくかった企業【一般消費財セクター】

 

2008年のS&P500のセクター別のリターンです。

  1. Consumer Staples Index(生活必需品)-15.4%
  2. Health Care Index(ヘルスケア)-22.8%
  3. Utilities Index(公益事業)-29.0%
  4. Telecommunication Services Index(電気通信サービス)-30.5%
  5. Consumer Discretionary Index(一般消費財・サービス)-33.5%
  6. Energy Index(エネルギー)-34.9%
  7. S&P 500 Index -37.0%
  8. Industrials Index(資本財・サービス)-39.9%
  9. REIT(不動産投資信託)-42.3%
  10. Information Technology Index(情報技術)-43.1%
  11. Materials Index(素材)-45.7%
  12. Financials Index(金融)-55.3%

 

今回はS&P500(-37.0%)に比べて下落率がかなり低かったヘルスケアセクター(-22.8%)についてです。

 

 

リーマンショック前後のヘルスケアセクターの主な銘柄の下落率

 

S&P500のヘルスケアセクターの主な銘柄(時価総額順にピックアップ)のリーマンショック前後のリターンを調べてみました。

ABBVはリーマンショック時はまだスピンオフされていなかったので載せていません。

銘柄 2008年リターン
Johnson & Johnson -7.7%
UnitedHealth Group Incorporated -54.26%
Pfizer, Inc -16.85%
Merck & Company, Inc. -45.34%
Allergan plc -2.10%
Medtronic plc -36.32%
Abbott Laboratories -2.47%
Amgen Inc 24.35%
Eli Lilly and Company -21.23%
CVS Health Corporation -27.16%
Thermo Fisher Scientific Inc -40.93
Gilead Sciences, Inc. 11.15%
Bristol-Myers Squibb Company -6.05%
Anthem, Inc -51.98%
Danaher Corporation -35.37%
Biogen Inc. -16.32%
Stryker Corporation -45.99%
Becton, Dickinson and Company -16.92%
Intuitive Surgical, Inc -60.92%
Express Scripts Holding Company -24.68%

 

当たり前ですが、銘柄によっては下落率の大きい銘柄と小さい銘柄とさまざまですね。

リーマンショックが発生した2008年をプラスリターンで終えたのは、アムジェンとギリアド・サイエンシズの2銘柄。

 

下落率が10%未満と下落しにくかったのは、

  • ジョンソン&ジョンソン
  • アボット・ラボラトリーズ
  • アラガン
  • ブリストルマイヤーズ・スクイブ

でした。

 

リーマンショック前後の3年間のヘルスケアセクターのリターン

リーマンショック時のヘルスケアセクターのリターン

先ほど紹介した20銘柄を5%ずつ組み入れたポートフォリオとS&P500のリターンを比較したものです。

 

リーマンショック前後の3年間での最大ドローダウンは、ヘルスケアセクターが約-39%に対して、S&P500は約-51%でした。

 

 

[記事内広告]

リーマンショックから2018年までの騰落率

 

下のグラフは2007年から2018年までの騰落率のグラフです。

ヘルスケアセクターのリターン2007-2018

 

突出したリターンをあげている銘柄がインテュイティブサージカル(ISRG)ですが、下落するときも激しいです。

ISRGは、ロボット支援低侵襲外科手術技術の分野での世界的リーダー企業でダヴィンチが有名ですね。

 

JNJはダントツの優良企業だけあって、株価推移も非常に安定しています。

ただ、リターンもそれなりですね。十分といえば十分なんですけど。

 

ここで注目したいのが、リセッション時の下落率が低いにも関わらず、その後のリターンもそれなりに良かった企業です。

  • アボット・ラボラトリーズ(ABT)
  • ベクトン・ディッキンソン(BDX)
  • バイオジェン(BIIB)

 

投資するとしたら、保有株であるJNJやABT、BDXあたりかな。

 

 

2001年のリセッション時の下落率は?

 

参考までにリーマンショックよりさらに前のリセッション時の2001年の株価推移を調べてみたました。

銘柄 2001年リターン
Johnson & Johnson 14.01%
Abbott Laboratories 17.08%
Becton, Dickinson and Company -3.19%
S&P500 -12.02%

 

なんと、JNJとABTは上昇しています。

やはり景気に関係なく、製品が売れる事業を抱えている企業というのはかなりの強いですね。

ちなみにABBVはABTから2013年にスピンオフされました。

 

 

 

まとめ

 

すでに保有しているJNJは保有継続です。

優良企業ですし、連続増配でかつ株価推移も安定しているので売る理由がない。

買値を下回れば、買い増しします。

 

ABTやBDXももう少し調べることにします。

 

 

[記事公開日]: 2018/12/10
コメント一覧
  1. とおりすがり より:

    先日は、コメントに丁寧にご回答頂きありがとうございました。

    amgenはどうですかね。生物薬品企業の代表ですね。広瀬隆雄さんが言ってたのですが、「生物医薬品は特許が切れても簡単に他社がマネできない」(要約)そうです。たしかに従来型の医薬品の低分子化合物とは違い、生物医薬品はその医薬品を作る細胞などが財産です。だから、特許が切れても他社からの追随を許さず(アミノ酸の配列で特許を取ってるんでしょうか?)。今も「エンブレル」「ニューラスタ」を新規に開発し、両生物医薬品は大きく売れてます。さらにありえないほどのCFです。特許闘争でもEPOやG-CSFで過去には勝ってます。
    とは言え、私も要観察銘柄だけなのですが・・・。

    • もも より:

      とおりすがりさん、こんにちは。
      コメントありがとうございます。

      先日は長期の債券ETFについて教えていただき、ありがとうございました。
      その後、VGLTに少額ですが投資を開始しました。

      アムジェンは良い企業ですよね。

      生物学的製剤というのは動物の細胞などを培養してつくるため、有効成分の特定がしにくいうえに、
      低分子型に比べて幅広く特許をとっているのが特長ですよね。
      そのため、バイオシミラーの開発は特許侵害の訴訟をおこされる可能性が高いですから、
      特許が切れたとしてもしばらくは安泰ということなのでしょうか?
      このあたりのことは詳しくないのでよくわかりません。

      アムジェンは研究開発費に莫大な資金が必要だとしても、毎年稼ぎ出すキャッシュは多額ですし、
      もっと割安であれば投資したい企業です。
      今の水準ではちょっと手を出しにくいです。

      • とおりすがり より:

        「有効成分の特定がしにくい」これは、誤解されてます。
        天然物由来の漢方でさえも有効成分が特定できないものは、認可されません(日本でもFDAでも)。生物医薬品は、人間と同じアミノ酸配列を持つタンパク質をカイコ等の細胞等に作らせてます(大腸菌は遺伝子操作が簡単ですが、糖鎖の修飾が行われないので、現在はあまり使われてないと思います)。

        例えば、「エンブレル」は、炎症で悪い働きをしているTNFを作用発現させないように(人間の細胞に作用する前に)、TNF蛋白だけを吸着してしまうアミノ酸配列を使う戦略で(同じ生物医薬品でもオプシーボの戦略とは異なります)、それを可溶化するために免疫グロブリンのアミノ酸配列を尻に付けます。これら全てに人のアミノ酸配列を作らせるためのDNA配列を、細胞に人為的に組み込みその人工タンパク質を作らせます。

        この細胞自体が財産なのです。ここまでのアミノ酸配列には、何も新規性ありません。その人工タンパク質がいい作用を持つだけでなく、その細胞が「安定的に」「長期に」「コスト的に合う条件」で人工タンパク質を産生させる技術をamgenは持ってるのです。この技術は、キリンや中外製薬などとEPOやG-CSFを競争してた時代から培ってきたもので、そんじょそこらの会社では真似できません。

        ま、だから小さな小さなバイオベンチャーから始まった会社が世界15位以内の製薬会社になれた訳なんです(だから、株価下がらないんで、見てるしか無いんですが・・)。

        製薬会社は、IT産業と同じ知識集約型産業ですが、ディフェンシブ銘柄で大型企業は決して潰れることもなく(代わりにM&Aが盛んです。最近の例、タケダ製薬)、本当に投資に値する業種(投資家の社会的責任としても)だと思っています。その中でもamgenは、別格です(私は、決してステークホルダーではありません)。

        • もも より:

          とおりすがりさん、こんにちは。
          非常に勉強になるので、ありがたいです。

          生物学的製剤は有効成分が特定しにくいわけではないのですね。誤解していました。
          はっきりと有効成分が特定できないと医薬品として承認されないということも理解しました。

          人工タンパク質を産生する細胞そのものが財産ということですが、この細胞を作る手順は特許では公開されていないのでしょうか?
          もしくは、公開されていてもコストに見合った条件で人工タンパク質を産生する細胞を作ること自体に高い技術力が必要で、他社は簡単には真似できないのですか?

          製薬業界の中でも収益性が高く、潤沢なCF、今後の株主還元を考慮するとアムジェンにはいつかは投資したいです。
          今まではウォッチリストにも入れてなかったですが、知れば知るほど投資したくなる企業ですね。

          • とおりすがり より:

            「人工タンパク質を・・・・公開されていないのでしょうか? もしくは、・・・真似できなのですか?」
            この方法の原理は、みんな知ってます。理系の大学生なら誰でもでも知ってます。この原理を「安定的に」「長期に」「コストに合う条件で」作ることが大変なんです。ここがamgenの他にない強みです。

            この点は、おそらく特許にしてません。特許になると後々公開しなければならないので、してないと思います。特許はあくまでも公開が遅くなるだけです。コカ・コーラもKFCも大素の原液やスパイスは、特許を取ってませんよね(近年ですとAppleの取った特許から何をやってるか推測の記事がでますよね)。

            あれ程のバイオベンチャーは今後出ないでしょう。分子生物学の隆盛期にその最先端技術を使ってできたベンチャーなのです。これほどの大きな変化は、もうおこらないでしょう(もし、iPSやCas9/CRISPERから薬できてもこれほどの変化にはならんでしょう)。

            これから世界は生物医薬品の時代です。これらの生物医薬品が低分子化合物でできるようになるのが、次の時代です(来るかどうかもわかりませんが)。生物医薬品が低分子化合物になると、薬局で飲み薬としてもらえます(注射でなく)。ハンドリングが劇的に良くなるのです。ちょっと違いますが、ギリアドやABBV等のインフルエンザ薬やHCV治療薬は、このような変化の可能性を示唆すると私は思っています。

          • もも より:

            とおりすがりさん、こんばんは。

            アムジェンって本当に素晴らしい企業なんですね。
            創業以来わずか30年ほどしかたっていないにも関わらず、ここまで大きな企業になるにはきちんとした理由があったのですね。

            アムジェンに関しては、元CEOの方が書かれた「世界最高のバイオテク企業」という本があります。
            アムジェン流の経営に関してや、成功の原理など、多くを知ることができそうです。

            割高な株価が解消され、投資できる日がくるといいのですが。

コメントを残す

CAPTCHA


おすすめの記事