米国の著名な投資家であるジェレミー・シーゲル博士の書籍である株式投資の未来を読まれた方であれば、配当金が株式投資のリターンにおいて与える影響は非常に大きいことをご存知かと思います。
1871年から2003年にかけて、インフレ調整ベースで、株式の累積リターンの97%は、配当再投資が生みだしてきた。値上がり益(キャピタルゲイン)が生みだした部分は3%に過ぎない。
引用元:株式投資の未来
1873年から2003年までの122年間における累積リターンの97%が配当金再投資によるものというのは、衝撃的な話です。
シーゲル博士の研究以外でも同じような結果がでているので、株式投資において配当金を再投資させることは非常に重要なことなのだとわかります。
株式投資において配当金は利益の源泉である
1900年から2015年までのS&P500のリターンにおいて、配当金がどれだけ貢献しているかを見てみましょう。
株式投資のトータルリターンにおいて配当金の影響は非常に大きい
出典元:Rational Insights
このグラフを見てみると、世界恐慌があった1930年代とITバブルやリーマンショックがあった2000年代には株価は下がっていますが、当然ながら配当金を支払う企業はあるので、不況期であっても配当収入はプラスです。
115年間での投資リターンにおける配当金の占める割合は約47%(配当金の再投資はおそらくしていない)なので、配当金の影響度というものは非常に大きいです。
配当金を再投資させた場合
出典元:Rational Insights
シーゲル博士の株式投資の未来では、配当金再投資は下落相場のプロテクター、上昇相場のアクセルと表現されていますが、まさにその通りであることが上記のグラフからも見て取れます。
1988年から2016年までS&P500に投資した場合の年率リターンは7.6%で、これだけでも十分な運用成績です。
しかし、配当金を再投資させた場合は年率リターンが10%とさらに良くなります。
あまりピンとこないかもしれないけれど、年率リターン2.4%の違いというものは、かなり大きいですよ!
不況期の下落相場の時は、受け取った配当金を再投資することで株数を増やすことができます。
そして不況期から徐々に回復していく過程で、積み増した株式数が本領発揮してくるのです。
受取配当金が多ければ多いほど、自己資金を投入しなくても低い株価でどんどん買い増ししていくことができます。自己資金を投入できればさらに株数を増やせます。
この退屈な投資法である配当金再投資戦略は、実行するのが比較的簡単なのにも関わらず、資産の長期的な成長を期待できるのです。
企業の配当政策によるリターンの違い
配当政策というものは、各企業によってさまざま。
バフェット率いるバークシャーは今まで、一度しか配当金を支払ったことがありません。
これは、二重課税が原因だと言われています。
よく考えると、そうですよね。
企業は税金を支払った後の利益から株主に配当金を支払っているにも関わらず、配当金を受け取る株主もまた配当金から税金を引かれてしまいます。
だからバフェットのように資本配分を適切にできる経営者がいる企業では、配当金を株主に支払うよりも効率がよいのでしょう。
だけど、ほとんどの企業はバフェットのように適切に資本配分できませんから、私は配当金は二重課税だったとしても支払ってもらいたいです(笑)
では、配当政策による投資収益の違いを見てみましょう。
出典元:Rational Insights
減配した企業や無配企業のリターンの悪さが目立ちますね。
しかもボラティリティも大きいです。
配当成長企業のリターンは圧倒的に良いです。
配当貴族指数を構成するような企業に投資して長期間かけて配当金を再投資させていくと、おそらくある程度の資産は築けるのでしょうね。
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ただし、投資額が少ない場合は受取配当金も少ないので再投資効果もほとんどありません。
だから投資額が少ない間は、せっせと追加入金して投資元本を増やすべきです。
株式投資の未来は株式投資家には是非とも読んでもらいたい名著です!
[最終更新日]: 2020/02/07