JNJがオピオイド系鎮痛剤関連の訴訟で大幅下落。タルク問題といい訴訟ばっかり

 

JNJの株価が急落しています。

2018年の12月にもJNJの株価が一晩で10%も急落する場面がありました。

 

12月のときは同社のベビーパウダーに使われるタルクに発がん性のあるアスベストが混入していたことが原因で中皮腫や卵巣がんになったと訴訟をおこされていました。

 

経営陣はこのことを知っていたにも関わらず、隠していたのではないかという報道があって株価が急落したのでした。

関連記事 【JNJの株価が悲惨】がアスベスト入りタルク問題で10%超の大幅な下落

 

結局は原告側の訴えが認められ、JNJが敗訴しました。

2019年3月時点でタルク問題での敗訴は7件目。

 

一方、昨夜のJNJの急落(一時的に6.2%下がった)はタルク問題とは別の裁判です。

オピオイド系の鎮痛剤(モルヒネなど)の中毒性を知っていながら、危険性の周知を怠ったとしてJNJやテバ、パーデュー・ファーマが訴訟を起こされていたのでした。

 

JNJを除く2社はすでに和解金支払いで合意しています。

しかし、JNJは審理が始まったことで売られました。

 

アメリカは訴訟大国ですが、JNJも例外でなくかなりの件数の訴訟をおこされています。

裁判に負ければ、巨額の制裁金が課せられ、業績にも影響が出ますね。

 

 

JNJのオピオイド系鎮痛剤問題とは?

 

米国で社会問題となっているオピオイド中毒のまん延に、米製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の責任を問う訴訟の審理がオクラホマ州で28日、始まった。米自治体が鎮痛剤メーカー各社を相手取った類似の訴訟は1000件以上起こされており、オクラホマ州はその中で最初の審理として注目されている。巨額制裁金の支払いが発生すれば、製薬会社の業績に影響が出る可能性もある。

オピオイド系鎮痛剤は従来薬に比べ依存症の危険が少ないとのうたい文句で1990年代に売り出され、使用が急速に拡大した。だが、その後同薬の乱用による中毒患者が急増。危険性の周知を怠ったなどとして、製薬各社の責任を問う声が高まった。

オクラホマ州の検察は当初、J&Jとともにオピオイド系鎮痛薬メーカーの米パーデュー・ファーマ、イスラエルのテバ・ファーマシューティカルズ・インダストリーズの計3社を訴えた。パーデューは3月に2億7000万ドル(約300億円)の和解金支払いで合意。今月26日にはテバも8500万ドルの支払いで和解した。

引用元:「日経新聞」米の鎮痛剤問題訴訟、審理開始 製薬会社に巨額制裁金も

 

鎮痛剤メーカーを相手取った訴訟が1000件以上もあるなんて驚きですね。

他社はすでに和解金支払いで合意してますけど、JNJは審理が始まったばかり。

 

タルク問題でも1万2000件以上訴えられていますし、もう本当に訴訟ばかりですね。

 

2019年1Qでは、タルク問題などの訴訟費用の4億ドル計上したことや、医療機器やベビー用品の販売の伸び悩みなどで前年同期比で減益決算でした。

しかし、がん治療薬などの伸びてますし、1株利益は市場予想を超えました。

 

やっぱり業績は安定しているんですよね。

 

 

オピオイド系鎮痛剤の乱用について

オピオイド系鎮痛剤というのは中毒性があり、間隔があいてしまうと離脱症状に苦しむそうです。

1999年以降では、オピオイド系鎮痛剤の過剰摂取で19万人以上もの人が亡くなっています。

 

オピオイド乱用

オピオイド乱用率は、欧州においては一般市民の間で1%未満であった[2]。しかし刑務所人口においては平均30%に上昇していた[2]

またオピオイド乱用者においては、アルコールやその他の薬物の多剤乱用が一般的である[2]。これは他の薬物との相互作用において、よりオピオイド関連死を招くことを意味する[2]

過剰摂取による死亡

縦軸:依存性;上に行くほど依存性の可能性が高い。横軸:右に行くほど活性量と致死量が近い。[21]

オピオイドは、作用量と有毒域が近いため薬事法における劇薬に指定されている。

アメリカでは、医薬品のオピオイドによる死亡は、他の医薬品や違法薬物を抜いて最多であり、2010年の死因ファイルによる38,329例の中毒死のうち16,651(43%)を占めている[3]。オピオイド系鎮痛薬による中毒死は、アメリカでは1999年から2011年とを比較するとおよそ4倍に増加した[13]。1999年から、2010年では、男性2.65倍に増加したのに対して、女性4倍となっている[22]

処方薬による死亡の4倍の増加は、将来のヘロインによる死亡につながるのではと懸念されたが、2009年まで増加は見られなかった[23]。しかし、2010年と2011年に薬物過剰摂取死の最多であったオキシコドンを、2012年に急増したヘロインが上回った[24]

2016年8月、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、極度の眠気、呼吸抑制、昏睡および死亡につながることがあるオピオイドとベンゾジアゼピンの併用について、それら医薬品に、最も強い枠内警告を追加した[25]

引用元:wikipedia

 

治療の一環として必要な薬剤を乱用して中毒になるのは、製薬会社の責任なのですね。

製薬会社だけの責任ではないようにも思えるのだけどなぁ。

 

 

米国は訴訟大国。JNJは大丈夫なのか?

 

株式投資の未来を読んでみるとわかるのですが、PM(フィリップモリス)も多数の訴訟を乗り越えてきた企業です。

 

あまりの巨額な制裁金支払いに一時は倒産するかも?と思われていたらしいですし。

 

多くの訴訟を抱えているけれども、JNJは大丈夫なのか?

まぁ、たぶん大丈夫なんでしょうね。

わからないとしか、言いようがない!

 

S&P格付けはAAA(トリプルA)で、マイクロソフトとJNJだけですし、優良企業であることに間違いありません。

敗訴し続けたとすると制裁金は巨額になりますから、業績悪化は避けられませんが信じるしかない。

 

 

訴訟決着のための支払いは最終的に50億-150億ドルに達すると見込んでいる。

引用元:ブルームバーグ

 

JNJへの投資はもちろん継続です。

 

 

JNJの株価推移

JNJ株価チャート20190530

青:JNJ  ピンク:S&P500

 

上記はJNJの1年チャートです。

2018年12月の急落や今回の急落があっても、1年間でみるとS&P500をアウトパフォームしているんですね。

 

 

まとめ

 

ヘルスケア関連もJNJだけでなく訴訟が多いうえに、制裁金も驚くほど巨額です。

 

今回のオピオイドの乱用はトランプ大統領も問題視するほど、米国では社会問題になっているようなので、JNJも他の2社のように訴訟費用が嵩むのでしょうね。

 

一時的には問題があったとしても、JNJは優良企業に違いはないですし、投資はもちろん継続します。

でも、今の水準での買い増しはしません。

 

もしも$100を切るようなことがあったら、買い増しする予定です。

 

 

 

[記事公開日]: 2019/05/30
[最終更新日]: 2020/02/07
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