高配当利回り株と配当成長株への投資。より良い投資先は…

 

受取配当金額を最大化するためのポートフォリオを構築するときに悩むことがあります。

現在の高配当株にするか、それとも現在は高配当利回りではないけれども配当成長(増配)が期待できる株に投資するか。

 

配当成長が見込まれる株式は将来的には高配当利回り株になる可能性が高いです。

例を挙げてみると、現在の株価で高配当利回りなのはAT&T(T)やベライゾン(VZ)。

 

これらは配当利回りが5%を超え、代表的な高配当株だと言えるでしょう。

だけど、配当成長はあまり望めません。

実際に2016年の増配率を見ても、AT&Tは2.0%、ベライゾンは2.1%と配当成長率は低いです。

 

一方で、現在の配当利回りは高くはないけれども将来的には増配により高配当利回りが期待できる株式もあります。

例を挙げてみると、ナイキ(NKE)やビザ(V)やディズニー(DIS)など。どちらの企業も配当成長株だといえるでしょう。

2016年の増配率をみてみるとナイキは12.5%、ディズニーは9.8%、ビザは17.8%となっています。

 

これらの企業は今後も事業の成長が期待できるため、配当もそれに伴って増えていくと思われます。

関連記事 2016年も配当金は過去最高額を更新!保有株の増配率をまとめてみた

 

10年、20年と長期投資する場合には、高配当利回り株と配当成長率の高い株のどちらのタイプの企業に投資すれば効率的なのかについて調べてみました。

 

10年平均の配当成長率を調べてみた

 

高配当利回り株と配当成長率の高い株の過去10年平均の配当成長率について調べてみました。

 

高配当利回り株について

ベライゾン(VZ)の10年平均の配当成長率は約3.5%です。

AT&T(T)の10年平均の配当成長率は約3.2%です。

 

現在はどちらも配当利回りは5%を超え、十分に高配当利回り株といえるけれども、配当成長率が3%ほどでは物足りなく感じます。

 

配当成長株について

先ほど配当成長率の高い株として例に挙げたナイキ(NKE)の10年平均の配当成長率は約13.4%です。

ディズニー(DIS)の10年平均の配当成長率は約20.1%です。

ビザ(V)の5年平均の配当成長率は驚きの約29.8%です。

※ビザは上場が2008年なので10年平均の配当成長率が計算できません。

 

ディズニーとビザについては想像以上の配当成長率でした。

 

配当成長率(増配率)の高い企業はどのくらいで高配当株の配当金に追いつくのか?

 

例として下記のようなA、B、Cの企業に$100で投資開始したとします。

株式A:当初の配当利回りは5%、配当成長率は3%

株式B:当初の配当利回りは1%、配当成長率は10%

株式C:当初の配当利回りは1%、配当成長率は20%

※税金は考慮しません。

 

配当金再投資なしの場合

株式A 株式B 株式C
YoC 累積配当金 YoC 累積配当金 YoC 累積配当金
1年 5.0% $5.00 1.0% $1.00 1.0% $1.00
5年 5.6% $26.55 1.5% $6.11 2.1% $7.44
10年 6.5% $57.32 2.4% $15.94 5.2% $25.96
15年 7.6% $92.99 3.8% $31.77 12.8% $72.04
20年 8.8% $134.35 6.1% $57.27 31.9% $186.69
25年 10.2% $182.30 9.8% $98.35 79.5% $471.98
30年 11.8% $237.88 15.9% $164.49 197.8% $1181.88
35年 13.7% $302.31 25.5% $271.02 492.2% $2948.34
40年 15.8% $377.01 41.14% $422.59 1224.8% $7343.86
45年 18.4% $463.60 66.3% $718.90 3047.7$ $18281.31
50年 21.3% $563.98 106.7% $1163.91 7583.7% $45497.19

 

配当金再投資は行わない設定です。

配当成長率が50年間も20%を維持するというのは現実的ではないですが、これが実現したとすると凄まじい配当利回りになります。

 

当初の配当利回りが5%で配当成長率が3%の場合と、当初の利回りが1%で配当成長率が10%の場合を比べてみると、35年から40年の間(実際には39年目)で累積配当金は逆転します。

 

配当成長率が20%の場合は何と、18年目で逆転してしまいます。

 

配当金を再投資させた場合はもう少し早くに逆転しますし、配当成長率の高い企業は業績も順調なはずですから株価の上昇も見込めます。

 

配当金再投資ありの場合

株式Cの場合に、配当金再投資すると30年を超えたあたりから加速度的に数値が大きくなって書ききれないので割愛します。

  株式A 株式B
YoC 株数 累積配当金 YoC 株数 累積配当金
1年 5.0% 1.00 $5.00 1.0% 1.00 $1.00
5年 6.6% 1.23 $28.35 1.5% 1.05 $6.20
10年 10.2% 1.66 $71.27 2.7% 1.16 $16.96
15年 16.5% 2.35 $139.68 5.0% 1.35 $36.52
20年 28.1% 3.49 $254.17 10.0% 1.73 $74.77
25年 50.9% 5.52 $456.89 23.1% 2.57 $158.80
30年 98.5% 9.34 $839.80 65.7% 4.79 $380.53
35年 205.9% 17.13 $1618.60 256.0% 12.57 $1158.83
40年 469.9% 34.37 $3342.30 1598.1% 54.82 $5383.05
45年 1184.7% 76.38 $7543.53 19600.8% 491.80 $49081.66
50年 3345.5% 33.45 $18970.85 606220.4% 11742 $1174174.49

 

配当金再投資により株数が増えてくるので、受取配当金も多くなります。

投資開始直後は配当金再投資なしの場合とあまり違いはありませんが、投資期間が長くなることで加速度的に受取配当金が増えていくことがわかると思います。

 

35年を超えたあたりから、配当成長率が10%の場合の累計配当金が配当成長率が3%の場合を追い抜きます。

 

 

また、下記は配当成長率が20%の場合の20年間での推移のグラフです。

 

15年を超えたあたりから、配当成長率が20%のものは急激に受取配当金が増えていることがわかると思います。

 

まとめ

 

今回の調査結果から、35年以上の長期投資を考えているのであれば現在の高配当利回り株に固執する必要はないのでしょうね。

 

一方で、20年未満の投資期間で配当成長率が10%程度なのであれば、投資開始時期の配当利回りにもよりますが、最初から高配当株に投資していた方が累計の受取配当金額は多いのかもしれません。

 

ただし、配当成長率が高いような企業はすでに投資家に高く評価されているだろうし、割高な価格がついているだろうとは思いますが。

あまりの高値でジャンピングキャッチしてしまうと、比較的長期間の含み損を覚悟しなければいけません。株式投資の難しいところです。

含み損が多大になると受け取る配当金でカバーするにしてもある程度の時間がかかりますから、やはり適正価格で買うべきでしょう。

しかし、20年以上の長期投資を想定しているのであれば、大抵は誤差の範囲になると思います。

 

以上のことから配当金生活のポートフォリオを構築する際には、配当利回りだけでなく、できれば配当成長(増配率)についても考慮した方がよいと思われます。

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狙い目なのは、投資家からの人気がなく割安に放置されている企業で配当成長率の高い企業で比較的高配当な企業ということになります。

 

一昔前はタバコ株がこの条件(不人気&高配当)にぴったりと当てはまっていたけれども、今ではそこそこ評価されるようになりました。

 

株式投資をする上で配当金の重要さを理解するには、株式投資の未来は必読の書です!

 

 

手堅くAT&TやVZ、PGなどの保有を継続しつつも、配当成長も見込めるNKEやVやDISなどもバランスよく加えていきたいと思います。

 

 

 

[記事公開日]: 2017/05/31
[最終更新日]: 2020/02/07
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