保有株であるギリアドサイエンシズ(GILD)の決算発表がありました。
売上高、一株利益ともに市場予想を下回り、株価も大幅に下落しています。
2017年に引き続きHCV(C型肝炎)治療薬が売れてません。
ギリアドの稼ぎ頭であるだけに、HCV治療薬の売上減はGILDにとっては致命傷です。
C型慢性肝炎治療薬の売り上げが引き続き減少
HarvoniやSovaldi、Epclusa、VoseviなどのC型肝炎治療薬は2017年に引き続き売上減少しています。
2017年第1四半期の売上は25.76億ドルだったのが、2018年第1四半期の売上は10.46億ドルにまで50%以上も減少しています。
ハーボニーは米国、ヨーロッパ、その他の地域の全てで売上減少。
前年同期比で1/4くらいまで売上が落ちています。
エプクルサ(Epclusa)に関しては、米国では減少しているけれども、ヨーロッパやその他の地域では増加。
そもそも新薬での治療を開始したことによりHCV患者は減少していますし、競合薬の出現で厳しい状況は続いています。
競合はアッヴィ(ABBV)のマヴィレット
ギリアドのC型肝炎治療薬は売上が低迷しているのですが、一方でアッヴィのマヴィレット(Mavyret)は順調に成長しているようです。
理由は、定価が競合の半値だから。
そりゃ、同じような効果が期待できるなら安い方がいいに決まってます。
そもそもC型肝炎治療薬は高価格で有名ですし、患者にとっては安い方がありがたいですから。
アッヴィのHCVの2018年第1四半期の売上は9.19億ドルでした。ギリアドのHCV治療薬の売上が10.46億ドルですから、追い抜くのも時間の問題のような気もしますね。
このままギリアドのシェアを奪っていくのかどうか気になるところ。
アッヴィも保有株なので複雑な心境です。
HIV治療薬や予防薬は売上微増
HIVの治療薬Genvoya、Descovy、OdefseyやHIV感染予防薬Truvadaは売上が増加していますが、HCV治療薬の減少を補うほどではありません。
参考までに、HIV感染予防薬Truvadaは米国では売上が伸びていますが、ヨーロッパでの独占販売期間が終了したために、ヨーロッパでの売上は減少しています。
カイトファーマの買収でYescartaを手に入れる
新たながん治療法として注目されているCAR-T細胞療法(キメラ抗原受容体T細胞)ですが、こちらも高額な治療費がかかります。
細胞療法というのは患者自身の免疫細胞を利用し、がんの治療を目指す免疫療法のことです。
CAR-T細胞療法というのは患者数の多い固形がんには効果が得られないようなのですが、血液がんには効果が高いようで、ノバルティスもCAR-T細胞療法としてKymriahを発売しています。
ギリアドのYescartaは、2018年第1四半期に4000万ドルの売り上げがありました。
このまま順調に伸びていくのでしょうか?
まとめ
こんなにも急ピッチでHCV治療薬が売れなくなるなんて想定外でした。
HIV治療薬は売上が少しずつでも増加していますが、HCV治療薬の売上減少を補うほどではありません。
投資開始当初の目論見が外れたときは、売却するひとつの理由となります。
ギリアド株の対処は増配が維持されるかどうかで決めたいと思います。
ブロックバスターになれば、凄まじいまでの利益を手にすることができますが、開発した新薬が承認されなければ巨額の研究開発費は無駄になりますし。
バイオ製薬会社への投資って難しいですね。
[最終更新日]: 2018/05/17