チャーリー・マンガー流、成功する投資家に必要不可欠な13の資質

 

バークシャーの副会長であるチャーリー・マンガーに関する書籍(投資参謀マンガー ― 世界一の投資家バフェットを陰で支えた男)を以前に読みました。

関連記事 投資参謀マンガー、世界一の投資かバフェットを陰で支えた男を読みました

 

チャーリー・マンガーはバフェットが投資家として大成功するのにかなりの影響を与えた人物で、バフェット自身もマンガーの助言がなければ、これほどの資産を築くことはできなかったと発言しています。

ちなみにチャーリー・マンガーもバフェット程ではないけれども、富豪の一人です。

 

そして、チャーリー・マンガーにかなり興味をもったので、今度は完全なる投資家の頭の中──マンガーとバフェットの議事録 (ウィザードブックシリーズ)を読んでみました。

 

この書籍は、マンガーのインタビューや講演、投資家への手紙などでのチャーリー・マンガーの発言を基に、マンガーがどのように投資を行っているかについて主に書かれています。

そこで、投資家として成功するための必要不可欠な資質について書かれていることを紹介したいと思います。

 

投資で成功するために必要な資質

 

株式投資で成功するためには、いろいろな資質は必要であると思います。

株式投資といっても、利益を得る方法は実にさまざま。短期トレードで莫大な利益をあげている人もいますし、長期投資で利益をあげている人もいますから。

 

書籍で紹介されていたのは、マンガー流の投資に必要な13の資質についてです。

この13の資質以外にもあるらしいのですが、マンガーが頻繁に話しているのはこの13個だそうですよ。

 

では、順にみていきましょう。

忍耐

投資をする上で忍耐は本当に必要だと思います。

私でも実感するくらいですから、まぁ当たり前のことなのでしょう。

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マンガーの有難いお言葉をいくつか紹介します。

  • 成功とは、忍耐強く待ち、時が来たら、積極的に行動するということです。
  • 私たちは衝動に駆られてバットを振ることはありません。チャンスが来るまでずっと待つつもりです。時期によっては、投資先を探す時間があきれるほどあります。
  • 私たちは二人とも素晴らしいチャンスがあればすぐに行動します。

引用元:完全なる投資家の頭の中

 

2016年のバフェットから株主へ宛てた手紙の中でも同様に時が来れば、二人とも精神的にも、財政的にも迅速に行動する準備をしていると書かれていました。

Some years, the gains in underlying earning power we achieve will be minor; very occasionally, the cash register will ring loud. Charlie and I have no magic plan to add earnings except to dream big and to be
prepared mentally and financially to act fast when opportunities present themselves. Every decade or so, dark clouds will fill the economic skies, and they will briefly rain gold. When downpours of that sort occur, it’s
imperative that we rush outdoors carrying washtubs, not teaspoons. And that we will do.
引用元:shareholder letters 2016

 

投資法によって必要な資質というものは違ってくるとは思うけれども、少なくともグレアム流バリュー投資かは忍耐強くならなければならないのです。

 

株式市場は資金を「積極的な人から忍耐強い人に」移すためのものだとバフェットは発言しています。

 

規律

マンガーの投資の規律としては、良い球が来るまで待つというものがあります。

群衆に従いたくなるのを避けるためにも投資の規律は必要なのだそうです。

  • 正気を失うことなく、忍耐を持ち、規律を守り、損失と逆境を受け入れる能力が必要です。
  • 私たちは、素晴らしい柔軟性と、ただ行動するためというバカげた理由では動かないという規律を持っています。これは、何もしないことに耐えられなくて、愚かなことに手を出してしまうことを避けるための規律です。

引用元:完全なる投資家の頭の中

 

私にとっては少し耳の痛い話です。

なるべく不必要な売買はしないようにはしているけれども、ついつい余計なことをしてしまった結果、損失を出すという失敗を何度もやってます。

何もしないでじっと待つということは、想像以上に難しい。
また、投資で一番大切な20の教え―賢い投資家になるための隠れた常識の著者であるハワード・マークスも規律の重要性について述べています。

価値に対する強い気持ちのみが、みんなが一直線に上がると考える高評価の資産で利食うために必要な規律や、危機のさなかで毎日価格が下がっていく中でも保有し続けたり、ナンピン買いする勇気を与えてくれる。

ただし、この努力が利益につながるためには当然ながら価値を的確に見極める必要がある。

引用元:投資で一番大切な20の教え

 

冷静さ、そして勇気と決意

投資で利益をあげるためには、他人とは違ったことをしなければなりません。

他人が先を競うように買っている時には、売って現金で保有しておき、誰もが買いたくないときにその現金を使って買うようにしないといけないのです。

 

投資家は忍耐強く、そしてここぞというチャンスが訪れた時には勇気をもって積極的に行動することは非常に重要です。

 

もし1世紀の間に2~3回起こり得るマーケットが50%下落する事態に落ち着いて対応できないならば、普通株の株主には向いてないし、このようなマーケット変動に対して理性的に対応できる気質を持った人と比べて平凡な結果しか得ることはできません。

引用元:完全なる投資家の頭の中

 

知識は必要だが、知能指数の高さは必要ない

アクティブ投資家として成功するためには、平均以上の知性をもっていることがの前提条件だそうです。

バフェットは最低でもIQは125(IQ125は平均以上)は必要だと言っています。

 

ただし、IQが高い人は自信過剰に陥りやすい傾向があり、投資でひどい結果を招く原因は高いIQよりも自信過剰にあるのだそうですよ。

 

だから、平均以上の知性があれば、それ以上のIQは投資で成功することに関しては必要ではないということです。

 

誠実さ

性格は、投資においても人生においてもとても重要なこと。

マンガーは、誠実さはモラル的に正しいだけでなく、最大の金銭的リターンを生みだす方法だと考えています。

 

一緒に仕事をする相手が誠実で、お互いに信頼関係があれば、その信頼関係から生まれる効率が金銭的なリターンを向上させるのです。

 

自信は持ってもイデオロギーは持たない

イデオロギーとは、人間の行動を左右する根本的な物の考え方の体系のこと。

社会集団や社会的立場(国家・階級・党派・性別など)において思想・行動や生活の仕方を根底的に制約している観念・信条の体系。歴史的・社会的立場を反映した思想・意識の体系

引用元:三省堂辞書

 

自分をごまかさないことは、最も大切なことのひとつです。なかなかできないことだからこそ重要なのです。

引用元:完全なる投資家の頭の中

 

また、マンガーは自分の判断に対して正しい自信が持てるようになってくださいとも発言しています。

 

若いうちにあるイデオロギーに夢中になり、それを主張し始めると、脳は悲惨なパターンに凝り固まってしまいます。そして、認知全般がゆがんでしまいます。

引用元:完全なる投資家の頭の中

 

マンガーは、イデオロギーの根本的な問題は、難問に直面すると志向が止まってしまうことだとしています。

 

長期指向

投資で成功するためには、長期指向はとても重要になります。

また、複利の威力は長期的にみれば、より明確になりますが、複利の威力については自然に頭に入ってくるものではないが、しっかりと理解しておくべきことなのです。

 

複利の威力と、それを理解することの難しさがわかることは、さまざまなことを理解するための核となる。

引用元:完全なる投資家の頭の中

 

情熱

一番大事なことは、そこから生まれる情熱や強みです。バークシャーには、それぞれに会社に特別の情熱を持っている人たちであふれています

私は、能力よりも情熱の方が大事だと思っています。

引用元:完全なる投資家の頭の中

 

何かを成し遂げようとするときに絶対に必要なもののひとつに情熱はあると思います。

情熱を持っている人は、目的を達成するために、より懸命に働き、より投資する。また、そういう人はたくさん読んだり、考えたりしています。

 

投資に対する情熱はなくならないようにしたいものです。

 

勉強熱心

勉強はいつの時代でも大事です。

ウォーレン・バフェットの頭の良さは有名ですが、チャーリー・マンガーも素晴らしく頭が良いのだそう。

しかも彼らはかなりの読書家。年齢を重ねても勉強をやめない姿勢は見習いたいです。

人生で出会ったさまざまな分野の人たちの中で、あまり本を読まないのに賢いという人には出会ったことがありません。ひとりもです。

ウォーレンも私も驚くほどたくさんの本を読んでいます。

引用元:完全なる投資家の頭の中

 

読書を通じて、生涯、自己学習を続けてください。

好奇心を育て、毎日少しずつ賢くなるために努力するのです。

引用元:完全なる投資家の頭の中

 

同僚

バフェットはマンガーのことを「不愉快なノー・マン」と揶揄しています。それは投資の相談をしても、ほとんどは「ノー」の答えが返ってくるから。

 

間違いを避け、勝率をあげる良い方法の一つには、自分の判断を聞いてくれる人を持つことである。バフェットとマンガーはお互いにそうしているのです。

 

人生の成功者として知られた人で、信用して話ができる相手がいないという人には出会ったことがありません。

アインシュタインも、話し相手がいなければ、あのような偉業を成し遂げることはできなかったでしょう。そういう相手はたくさんはいりませんが、何人かは必要です。

他の人に説明する中で、自分の考えが整理されていくからです。このプロセスは不可欠です。

山の中で隠遁(いんとん:交わりを絶って俗世間からのがれて暮らすこと)生活をおくっていても、うまくはいきません。

引用元:完全なる投資家の頭の中

 

健全な気質

マンガーは人生の浮き沈みにおける感情面の反応を気質と呼んでいます。

特定の気質を持っていることは、能力よりも重要です。

非合理的な感情をしっかり抑制する必要があるからです。

引用元:完全なる投資家の頭の中

 

バフェットもこのことについて、「自分で考えることができ、感情が安定していて、人と機関投資家の行動を理解していることが長期投資の成功には不可欠です」と言っています。

最高の投資家とは、冷静で合理的な気質を持っている人たちなのです。

 

中には残念ながら、投資には向かない気質の人もいて、こういった人たちは、どれだけ訓練してもできるようにはならないと書いてありました。

 

そういう人はアクティブ投資はやめて、インデックス投資の積立設定だけして投資のことは忘れるのが一番なのかもしれません。

 

倹約

倹約はいつの時代も非常に重要。

これは投資をする、しないに関わらずです。

富への道はマーケットへの道とおなじくらい平坦だ。頼りになるのは、勤勉と倹約という二つの言葉だ。

時間もお金も無駄にせず、どちらも最大限活用してほしい。勤勉と倹約がなければ何もうまくいかないが、それがあれば全てうまくいく。

引用元:フランクリン自伝

 

バフェットやマンガーも勤勉であり、倹約家であります。

私も努力はしたいと思います。

 

リスク嫌い

投資におけるリスクとは何でしょうか?

ある人はボラティリティであると言ったり、資金を失うことがリスクであると言ったりします。

 

マンガーは、マーケットの価格変動でリスクを図るという考え方を強く否定しています。

実際にボラティリティは対処すべきリスクのひとつであるけれども、リスクはこれだけではありません。

 

ではなぜ、資産運用会社は大事なリスクの一つとしてではなく、ボラティリティでリスクを図ろうとするのかについて面白い記述がありました。

それは、彼らの多くが、顧客にボラティリティがリスクだと思わせたいからだ。もし株価が下がれば、投資家に解約されてしまうため、ボラティリティは彼らにとって主要なリスクなのである。

また、ボラティリティがリスクならば、投資家にリスクを数字で示すことができるため、手数料を正当化しやすくなる。

しかし、実際にはリスクを完全に数値化することなどできない。それでは、なぜ学者もリスクをボラティリティで測ろうとするのだろうか。

マンガーはその理由を、

  1. 現実的ではなくても数学的に美しいから
  2. 資金運用会社に有利な契約ができるから

だと考えている。

引用元:完全なる投資家の頭の中

 

バフェットはリスクの定義を下記のように定義しています。

リスクとは自分が何をしているのかわかっていないときにおこるもの。

 

リスクに対処する最善策についてのエピソードも書かれてありました。

気になる人は本を読んでみてください。

 

まとめ

 

マンガー流の投資で成功するために必要不可欠な資質について書いてみました。

この資質全てを満たしている人は少ないのではないでしょうか。

 

私も10年以上株式投資をしてきて、手痛い失敗も数多く経験してきました。

失敗する時は大抵、根拠のない自信を持っている時や、冷静さを失っている時が多いような気がします。

 

忍耐強さというのは、少しずつ身についてきていると思います。

これからも投資に対する情熱を失うことなく、さまざまな投資本から少しでも多くの知識を吸収していけるように努力するつもり。

 

 

 

[記事公開日]: 2017/05/08
[最終更新日]: 2020/02/07
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