配当金という不労所得はうれしいものです。
ただ、資産形成中の方においては高配当株ばかりのポートフォリオを組むことはおすすめしません。
配当だけだとなかなか資産は増えていかないし、高配当株って配当金は多いけれども株価自体が上がらないことが多いし…。
高配当株ばかりのポートフォリオのデメリットとしては、
- 成熟企業が多いのでサプライズがなく株価が上がりにくい
- 業績見通しが悪く株価が下落して、高配当株になっている場合あり
- 業績悪化の場合は減配、株価下落のダブルパンチの可能性あり
業績が悪く、株価が下落して高配当になっているものは注意が必要で、最悪な場合は減配や無配の可能性もあります。
高配当株の全てにあてはまるわけではないけれども、落とし穴がある可能性を忘れないようにしたいものです。
米国株ポートフォリオの点検をしていると、S&P500を大きくアンダーパフォームする企業がある一方で、大きくアウトパフォームする企業もあるので、やはり分散投資は必要だと痛感しています。
最長で9年保有していても株主に報いてくれていない米国企業なども実例をあげて紹介しますね。
目次
高配当株の落とし穴とは?
高配当株への投資で気を付けないと痛い目をみるよという意味で、落とし穴という言葉を使っています。
業績は良いにも関わらず単なる需給の関係で売られていて、高配当になっているのならば問題はありません。
ただ、企業業績に懸念があるために売られて高配当になっている企業への投資は注意した方がいい。
無理をして配当金を支払っているような企業は、株主への配当金支払いにこだわりのある米国企業であっても減配になることが多いです。
私も昔、高配当に惹かれてBHPビリトンという世界最大の資源会社に投資して失敗しています。
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当時のBHPビリトンの配当性向はなんと400%だったんですよね。
無理をして株主に配当金を支払っている状態。
そして、何とか高配当利回りを維持していました。
無理をしている状態が長く続くわけもなく、世界経済の減速でBHPビリトンも業績悪化。
そして大幅な減配へ。
無配にならなかっただけマシだったかもしれないけれど、減配&株価の下落のダブルパンチで何年か含み損の期間を過ごしました。
運良く底値買いに成功したので何とか利益トントンで撤退できたのだけど、失敗のお手本のような投資でした。
今、高配当だというだけの理由で投資している企業があるなら、景気減速による悪化懸念がないのか、配当性向は妥当なのか?を調べてみることをおすすめします。
長期投資でも報われてない株を実例をあげて紹介
数年間投資しているにも関わらず、報われていない(含み損)投資先を紹介します。
高配当で人気のタバコ株、通信株は6~7年保有しているのに含み損の投資先が多い
高配当株投資をしている人のポートフォリオには大抵タバコ株や通信株を組み入れているでしょう。
買い付け単価にもよりますが、私の場合は6~7年保有しているのに含み損のものが多いです。
配当金は考慮せず、投資開始した年からの株価で年率リターンを計算しました。
その結果、MO、PM、T、VZの4銘柄中3銘柄が含み損(^^;)
株価の値上がり(値下がり)を年率換算すると、このようになりました。
- アルトリアグループ(MO)は年率-1.6%
- フィリップモリス(PM)は年率-5.1%
- AT&T(T)は年率-0.6%
- ベライゾン(VZ)は年率2.2%
※それぞれ投資期間は違いますし、買い増しも適宜しているのでおおまかな目安として見てください。
参考までにS&P500の年率リターンも併せて載せておきます。
- 2013年からの年率リターンは10.7%
- 2014年からの年率リターンは9.4%
アルトリアグループ(MO)へ投資を開始したのは2013年から。
一度は2倍以上にまで値上がりしたにも関わらず、利益確定せず保有し続けた結果、元の株価水準まで下落してしまいました。
おまけに下落途中で値頃感から買い増ししてしまい、投資開始後7年経過した今も含み損です。
PM、T、VZへ投資を開始したのは2014年。
ベライゾン(VZ)以外は株価の値上がり率だけみれば含み損。
だけど、受け取った配当金も併せるとAT&Tは損はしていないです。
6~7年も保有しているにも関わらず株価が下がっているなんて悲しいですよ。
2013年以降は株式市場全体が堅調だったにも関わらずです。
これら4銘柄は増配率は高くはないけど配当成長株なのが救い。
でも、配当金をいくらたくさん受け取っても、株価自体が上がらないなら資産はなかなか増えませんね。
株価低迷時に配当金再投資すると株価上昇時の利益は増える
シーゲル教授の株式投資の未来に書かれてあるように、株価が低迷しているときにコツコツと配当金再投資をして保有株数を増やしておけば、株価が上昇する際には大きなリターンが得られます。
ただ、株価が上昇すればという条件付きですけどね。
昔は配当金再投資戦略でPMへの投資は大成功したようです。
でも、MOなどは独占企業ですし、稼ぎ出すキャッシュのわりには評価されてないよなと思うんですよね。
だから、MOは今後も買い増していきます!
懸念事項としてはJUULやクロノスの買収で借入金が増え、財務が悪化しているのでもしかすると増配の停止、もしくは減配の可能性もあるかなということ。
現時点ではMOやPM、T、VZなどの高配当株への投資は報われていません。
でも、将来的には上記のような銘柄が見直される時期がくる可能性もゼロではない。
株式市場にはサイクルがありますから、2010年代はイマイチなリターンだったものが2020年代は見直される可能性も十分にあります!
株式投資の未来に書かれているような配当金再投資戦略は今でも有効なのかを身銭を切って実験中です。
投資期間9年でS&P500と同程度のリターンを得られた投資先は?
保有する米国株の中では保有期間が一番長いのがメルク(MRK)とP&G(PG)です。
どちらも2011年に投資を開始しました。
メルクとP&Gのどちらがリターンが高いと思います?
株価の値上がりを年率換算すると、このようになりました。
- メルクは年率10.0%
- PGは年率7.5%
- S&P500は年率10.1%
※S&P500は2011年初から2020年5月末までのリターン。
メルクやP&Gは年初からではなく、投資した日の買値で計算しています。
全て配当は考慮せず株価の値上がりだけで計算しています。
実際にはメルクやP&Gは配当成長しているので買値での利回り(YoC)も高くなっていますから、配当込で計算するとメルクはS&P500をアウトパフォームしています。
一方で、P&Gは配当込でもS&P500をアンダーパフォームしていそうです。
損しているわけではないし、実際に投資開始から2倍以上になった際に利益確定して元本も回収できましたから満足はしていますが。
ちなみに、2014年から保有しているジョンソン&ジョンソン(JNJ)も、P&Gと同じくらいの年率リターンでした。
米国株の情報収集におすすめ
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保有株で一番年率リターンが高かったのはマスターカード(MA)
ビザ(V)と並んで、ほどよく成長しているマスターカード(MA)へ投資を開始したのが2016年。
投資して以降も順調に株価は上昇し、含み損の期間なんてなかったような気もするMAの年率リターンが一番高かったです。
マスターカード(MA)の2016年からの株価上昇率と同時期のS&P500の上昇率です。
- マスターカード(MA)は年率37.3%
- S&P500は年率12.0%
2016年からの株価上昇率が年率37.3%って凄いですよね。
おかげで4年弱の保有で株価は3倍以上になりました。
成長株なので配当金を支払うよりも事業拡大が優先されるため低配当ですが、業績も好調なので配当成長率は高いです。
今は配当利回りは低いけれども、配当成長率(増配率)が高ければ時間が経過することでYoC(買値での配当利回り)も高くなっていきますのでなるべく長く保有したい企業です。
資産形成中ならキャピタルゲイン(譲渡益)も重要
すでに配当金生活を実践されているような潤沢な資金がある人にとっては、資金を増やす必要があまりないので高配当株ばかりのポートフォリオでも問題ないのかもしれません。
でも、配当金生活を目標としているなら投資資金自体を増やしていく必要がありますよね。
生活レベルや家族構成にもよりますが、一般的には配当金生活には1億以上の資金が必要となりますから。
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だから、株価の上がりにくい高配当株ばかりのポートフォリオにはせず、
- 配当性向が低く、配当成長が期待できる銘柄
- 業績好調で株価の値上がり益も期待できる銘柄
- 減配になりにくい業績の安定した高配当銘柄
などに分散させたポートフォリオを組むのはどうでしょうか。
高配当株は株式市場の下落時には相対的に強いといわれていますから、ある程度はポートフォリオに加えていることで安心できます。
米国高配当株についてのまとめ
米国株ポートフォリオを作る際には、高配当株ばかりに投資するのではなくてバランスよく分散させるのがおすすめ。
なぜなら、高配当株ばかりになると景気後退になったときに、大幅に減配になる可能性もあります。
また、高配当株は成熟企業や業績に懸念がある企業だったりするため、景気が良いときも成長株に比べて株価が上がりにくいものが多いです。
資産形成過程では投資資金全体を大きくしていけるようなポートフォリオを心掛けるのが、配当金生活への近道ではないでしょうか。
そして、どんなときでも配当金は再投資させましょう。