
今までバフェットに関する書籍は何冊も読んできたのですが、バフェットの相棒ともいえるチャーリー・マンガーに関する書籍は読んだことがありませんでした。
チャーリー・マンガーがいなければ、バフェットはここまでの投資家になってはいないのではないか?とも思うのです。
そこで今、投資参謀マンガー ― 世界一の投資家バフェットを陰で支えた男を読んでいます。
投資参謀マンガーには、投資に関するヒントがたくさん出てきます。
投資家として成功できるのか、否かについてはみなさん興味があることでしょう。
そのことについても少し書かれてありましたので、忘れないように記事にしておきたいと思います。
目次
素晴らしい業績の企業はいつまでその状態が続くのか?
米国企業の中には素晴らしい業績をあげる企業がたくさんあります。
株価は一般的には企業業績とともに騰がっていくものだと思うので、素晴らしい業績が続くのであれば売り時はおそらくない。
だけど、普通の企業はずーっと増収増益を続けるのではなく、事業を営んでいる以上はさまざまな問題がでてくるでしょうから、どこかの時点では事業が行き詰まることもあるわけです。
今は素晴らしい業績でもそれがいつまで続くかはわからないというところに投資の難しさがあります。
素晴らしい業績がいつまで続くのかという問いに対する答え
マンガーはこのように言っています。
信じられないほど業績の素晴らしい企業がたくさんあるでしょう。
問題は、いつまでその状態が続くかということです。それに対する答えを見つけるには、私が知る限り、たった一つだけ方法があります。
それは、そうした業績を可能にしている原因について考え、それらを阻害し得る条件を洗い出すことです。
例として、コカ・コーラやチューインガムのリグレーが挙げられています。
リグレーは日本ではあまり馴染みがないけれども、コカ・コーラは世界中で売られていますし、日本でも人気商品です。
世界一有名なガム会社であるというのは、非常に大きな強みだよ。
そのイメージを覆すのがどれほど難しいことか。
レグリー・ガムの好きな人が店に行って、それが25銭とで売っているとしたら、グロッツのガムが20セントだからといって、買って口に入れるきになるだろうか?
その人は考えるまでもなくリグレーを選ぶだろうね。
レグリー・ガムになぜそんなに大きな強みがあるのか、それは単純な理由なんだ。
出典元:投資参謀マンガー ― 世界一の投資家バフェットを陰で支えた男
マンガーのリグレーに関する上記の発言はとても有名です。
バフェットに関する書籍の中でも何度か読んだことがあるので、知っていました。
企業のブランド力や経済的な堀(競争優位性、ワイド・モーと)というものは、非常に重要なのだということがわかりますよね。
そして、コカ・コーラのような競争優位性のある企業は割と身近にある商品を作っている企業なのかもしれません。
他の同じような商品に比べて多少の価格差があったとしても、高い方を選ぶには何らかの理由があるはずです。
高い値段を支払ってまでも、その商品を買う理由は何なのでしょうか。
おそらく誰にでもこういった商品はあると思います。高くても好きだから買うというものが。この差別化こそが優位性なのですよね。
全く同じ内容であれば、誰だって安い方がいいに決まってますから。
成功する投資家に必要な能力
このような競争優位性のある企業を見つけて投資する際には、下記のような疑問に答えられるかどうかが、投資家として成功できるのか、そうでないかの分かれ目なのだそうです。
レグリー・ガムのような企業に投資する場合の問題点は、それが素晴らしいビジネスであることが誰の目にも明らかなことです。
だから、例えば株価を見て、『何てことだ!帳簿価格の8倍じゃないか。ほかの企業はみんな3倍なのに。』などと考える。
そして、『素晴らしい企業だというのは確かだけれど、これほどのプレミアムがつくほど素晴らしいのだろうか?』と不安になる。
出典元:投資参謀マンガー ― 世界一の投資家バフェットを陰で支えた男
このような問いに答えられるような人は、誰もがお金持ちになれるだろうとのこと。
ということは、投資する際には投資先企業のことを深く理解している必要があるわけです。
その企業の強みや問題点なども含めて理解しなければならないのでしょう。
難しいですね…。でも、成功するような投資家はきっと深く投資先の企業のことを調べているはず。
投資家として他者より一歩先に出ようとすると、人と同じようなことをして満足してするのではなく、投資先企業のビジネスについて深く掘り下げて調べていかないといけないのでしょうね。
自分自身で考えることは大切
賢明なる投資家 - 割安株の見つけ方とバリュー投資を成功させる方法の著者でもあるベンジャミン・グレアムはウォール街で成功するために必要な事として2つを挙げています。
- 正しい思考
- 自分の頭で考えること
専門家や成功している投資家の言葉をじっくりと検証した上で自分自身でも調べる。そして自分で考えて、最後に結論を出すことは投資で成功するには必要なことだと思います。
有名な投資家がとある銘柄を購入したとして、同じ銘柄に投資することは悪いことではないですが、ここで自分なりに調べたり、考えるという過程をいれないと投資家として成長することはないでしょうね。
投資に関わらず、いつも疑問に思ったことやわからないことは調べる習慣をつけたいものです。
質の高い株に長期投資することが富を築くことにつながる
マンガーもバフェットと同様、インデックスファンドに投資することを推奨しています。
もしくは、バークシャーのやり方に倣って株価から見て過大評価されていない質の高い株を買い付け、長期で保有する事で豊かさが保証されるとしています。
質の高い、優れた企業3社ほどに投資していれば、分散投資については心配することはないのだそうですよ。
普通の人には質が高く、優れた企業を見つけるのはそんなにも簡単ではないのですけどね。
富を築く上での2つのハードル
投資をするにあたって必要なのは投資元本です。
たまに相続したり、ギャンブルや宝くじで儲けたりということもあるかもしれないけれど、普通はしっかりと働いて、支出を抑えて貯めるしか方法はありません。
そして何もないところから10万ドル(1$=100円として1000万円)を蓄えるまでが富を築く上では一番難しいハードル。
2番目の大きなハードルは10万ドルを100万ドル(1$=100円として1億円)にまで殖やすこと。
たしかに、1億円は富裕層の入り口ですし、多くの投資家の憧れる金額でもあります。
この2つのハードルを越えるために必要なのは、首尾一貫して自分の収入をわきまえること。
富を得るというのは雪の玉を転がすようなものだと、彼は言う。
長い坂のてっぺんからスタートできれば言うことない。
早めにスタートして、雪玉を長いこと転がすことができるからだ。長生きもそのための秘訣だ。
高いプレミアムを支払ってでも買う価値のある企業は存在する
グレアムの投資法は、十分な安全域を確保して投資する方法です。
投資銘柄の選定に際して特別な注意を払うのならば、企業の有形資産価値と極めて近似した価格ープレミアムがついてもその3分の1以下ーで売られている株に投資を集中させるのが最善であろうということだ。
(中略)
一株当たり純資産に上乗せされたプレミアムは、証券取引所に上場していることと、それによって生じる株の市場性という利点に対して支払われる、いわば特別なチップのようなものだと考えられるのであえる。
ファンダメンタルズに関する教えについては、ほぼグレアムの考えに同意していたものの、グレアムの考えに対してチャーリー・マンガーは下記のような意見も述べているのです。
ベン・グレアムには、本質的な盲点がありました。高いプレミアムを支払ってでも買う価値のある企業があるという事実を、あまりにも軽視していたのです。
(中略)
少々高く支払ってでも、将来的に見れば関係を築いておいて損はない相手も、めったにいないけれど、いることはいるよ。
投資ゲームでは、常に質と価格の両方を考えなければならない。そのための秘訣は、支払った価格以上の価値を手に入れること。単純明快なことなんだ。
出典元:投資参謀マンガー ― 世界一の投資家バフェットを陰で支えた男
このマンガーの考えによって、バフェットの投資法も徐々に変わってくることになったのです。
チャーリーは、私がベン・グレアムの教えに従って、単なるバーゲン株買いに走らないよう、私を仕向けてくれました。
チャーリーが与えてくれた影響は絶大です。グレアムの極端な考え方に染まった私を動かすには、相当大きな力が必要でした。
それを成し遂げたのがチャーリーの心の力です。彼は私の限界を押し広げてくれたのです。
大体、もし私がベンの意見だけしか受け入れないままでいたら、これほどの資産は決して築くことができなかったでしょう。
私は、『素晴らしいビジネス』を『まずまずの価格』で買うことに強い興味を持つようになったのです。
プレミアムを支払ってでも買う価値のあった質の高い企業への投資の成功例として、シーズ・キャンディーが挙げられていました。そして、シーズ・キャンディーを買っていなかったら、コカ・コーラも買っていなかっただろうと。
シーズの成長するスピードはゆっくりではあるけれども堅実に成長していて、シーズの素晴らしさは資本の追加投入が必要ないことです。
質の高い企業とは
質の高い企業とは、先ほども出てきたようなシーズ・キャンディーやコカ・コーラのような継続的に利益を生み続けるような企業のこと。
いわゆるストック型のビジネスでしょうか。
ストック型のビジネスを営んでいる企業は数多くありますが、その中でも卓越したブランド力があって長期間にわたって利益を生み出せるような企業を見つけるのは簡単ではないです。
だからこそ、そのような企業を見つけると、大きく投資して保有し続けることがお金持ちになるための方法なのですよね。
投資はシンプルに考える
LTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)というヘッジファンドを知っていますか?
ノーベル経済学賞受賞者たちが運用するヘッジファンドで高度な金融工学を駆使して運用されていましたが、通貨危機により予期しない市場の変動に対応できずに破綻しました。
LTCMというヘッジファンドが最近崩壊したのは、経営陣が平均160という高い知能指数を有していたにもかかわらず、レバレッジに大きく依存する投資法を過信したためです。
頭が良くて勤勉な人でも、仕事をしていくうちに、うぬぼれという名の落とし穴に落ちないとは限りません。
彼らは概して、自分には人より優れた才能と手法があると過信し、自ら困難な航海に出て結局は座礁するのです。
このチャーリー・マンガーの発言からもわかるように、投資に関しても常に謙虚であり続けたいし、複雑な事業を行う企業に投資するよりは、わかりやすいシンプルな事業を営む企業へ投資した方が実りはありそうです。
まとめ
投資に関するヒントはマンガーのさまざまな発言から見て取れます。
なかなか興味深い人物でした。
マンガーについては、こちらの書籍もあります。
[最終更新日]: 2020/02/07