先日、読者さんからのコメントでレイ・ダリオが推奨しているという債券ETFについて教えていただいたのをきっかけに、レイ・ダリオについて調べてみました。
ブリッジウォーター・アソシエイツ創業者のレイ・ダリオは、ヘッジファンドの帝王と呼ばれていて、過去の実績は申し分ありません。
ただ、最近の投資成績は振るわないみたいですが。
ブルームバーグの記事によると、2年後(つまり2020年)には米国経済は下降に転じる可能性が高いと発言しています。
米国経済も下降に転じています。
まさか感染症が原因だとは考えていなかっただろうけど、レイ・ダリオの予想は当たってる…。
ブリッジウォーター・アソシエイツはレバレッジをかけた複雑な取引を行うので、個人投資家がレイ・ダリオの真似をすることはできません。
ところが、世界のエリート投資家は何を考えているのか: 「黄金のポートフォリオ」のつくり方の中で、レイ・ダリオが個人投資家向けに考えたポートフォリオが掲載されていました。
この本に掲載されているレイ・ダリオが推奨するポートフォリオの考え方は、ポートフォリオを再考中の私にとっては非常に参考になりました。
目次
レイ・ダリオの全天候型ポートフォリオ
レイ・ダリオのポートフォリオは全天候型ポートフォリオといって、どんな経済状況のときでも対応できるようになっています。
2018年9月末時点のレイ・ダリオのポートフォリオを調べてみると、意外にも個人投資家でも投資できるETFがポートフォリオの上位にきていました。
レイ・ダリオのポートフォリオ上位10銘柄を掲載しておきます。
symbol | portfolio(%) |
---|---|
SPY | 23.64% |
VWO | 21.55% |
IEMG | 6.09% |
GLD | 4.56% |
EEM | 3.52% |
LQD | 2.97% |
IVV | 2.44% |
TLT | 2.39% |
HYG | 2.25% |
EMB | 1.96% |
SPYとVWOでポートフォリオの40%以上を占めます。
VWOやIEMG、EEMを大量に組み入れているということは、新興国市場に強気ということなのかな?
あとは、債券ETFもそれなりに組み入れていますね。
ポートフォリオを見ると個人投資家でも投資できるETFが大半だったので、何だか意外でした。
世界最大のヘッジファンドということなので、もっと違ったポートフォリオを想像していましたから。
レイ・ダリオ推奨の個人投資家向けポートフォリオ(オール・シーズンズ戦略)
世界のエリート投資家は何を考えているのか: 「黄金のポートフォリオ」のつくり方で紹介されているポートフォリオです。
投資先 | portfolio(%) |
---|---|
米国株式(S&P500か他のインデックスファンド) | 30% |
米国中期債(7~10年満期) | 15% |
米国長期債(20~25年満期) | 40% |
金 | 7.5% |
商品取引 | 7.5% |
レイ・ダリオのオール・シーズンズ戦略とは?
個人投資家向けのポートフォリオをオール・シーズンズ戦略と呼びます。
市場は経済状況によって4つに分けられます。
- インフレ
- デフレ
- 経済上昇期
- 経済下降期
オール・シーズンズ戦略をとることで、どんな経済状況になろうとも対応が可能ということなのです。
経済状況 | 対応可能な投資先 |
---|---|
インフレ | 商品取引、金、物価連動債 |
デフレ | 長期米国債、株式 |
経済上昇期 | 株式、社債、商品取引、金 |
経済下降期 | 長期米国債、物価連動債 |
市場の状況を予想するのは無理なので、どんな時でも対応可能なポートフォリオを構築することが重要。
レイ・ダリオによると、
株式:債券が50%:50%はリスクを取り過ぎだそう。
株式は債券の3倍のリスクがある。
だから、実際のリスクは株95%:債券5%になるため、株式が下がるとポートフォリオ全体が下がる。
そして、上がる資産は必ず下がる。
どんな投資商品でも環境が整えば大きな利益が得られる!
(これと同様のことをバフェットも発言していました。どの書籍に書いてあったかは忘れたけど…)
また、個人投資家のリスク許容度は本人が想像している以上に低いとのこと。
それで、債券を多めにする必要があるのです。
レイ・ダリオのオール・シーズンズ戦略のリターン
先ほど紹介したポートフォリオでの、1939年から2013年までの75年間のリターン(配当再投資を含む)
symbol | S&P500 | オール・シーズンズ戦略 |
---|---|---|
最大損失 | -43.3% | -3.93%(2008年) |
損失回数 | 18回 | 10回※ |
平均損失 | -11.4% | -1.63% |
※うち2回は0.03%以下の損失
ちなみに、1984年から2014年までの期間でのオール・シーズンズ戦略のリターンは、年利回り9.72%でした。
リーマンショック時に-3.93%というのは非常に優れたポートフォリオですね。
ポイントは超長期債を40%も組み入れていることでしょう。
【2020年コロナショック】レイ・ダリオのオール・シーズンズ戦略でのリターンは?
この記事を投稿したのは2018/12。
そして、2020/5現在はレイ・ダリオが予想していたように2020年は米国経済は下降中。
原因は新型コロナウイルス感染症でしたが。
そこで、コロナショックでもレイ・ダリオが個人投資家向けに推奨している全天候型ポートフォリオのオールシーズンズ戦略が有効だったのかを調べたところ、非常に有効であることがわかりました。
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レイダリオの全天候型ポートフォリオはコロナショックでも強かった
ブリッジウォーターのファンドのリターンは3月時点では残念なことになっているみたいですけどね。
おまけに3月に欧州株をショートしています。
その後は世界的に株価が上昇しているので、ショートポジションはどうなっているんだろう。
参考までにですが、レイ・ダリオは新型コロナウイルスの感染拡大による打撃から世界経済が立ち直るには3年から5年の期間が必要だと述べています。
まとめ
世界のエリート投資家は何を考えているのか: 「黄金のポートフォリオ」のつくり方は、レイ・ダリオのオール・シーズンズ戦略の部分を読むだけでも価値のある書籍でした。
ポートフォリオを再考中なので、レイ・ダリオのオール・シーズンズ戦略を参考にしていきます。
いろいろと考えた末、米国長期国債ETFをポートフォリオに組み入れました。
関連記事レイ・ダリオの黄金ポートフォリオを参考に米国長期債券に追加投資
[最終更新日]: 2020/05/28