
JTとギリアドはどちらも保有しているのですが、抗HIV薬の日本国内での独占的開発と販売のライセンス解消に向けての協議が始まります。
JTの子会社である鳥居薬品を通じてギリアドの抗HIV薬の6製品を販売しているのですが、独占的開発と販売ができなくなると鳥居薬品はかなりのダメージを受けます。
しかし、鳥居薬品単体でのダメージは大きいですが、JTにとっては大してダメージはなさそうです。
目次
JT子会社の鳥居薬品の売り上げ3分の1を占めるギリアド創製抗HIV薬
鳥居薬品は、ギリアド・サイエンシズとの間で抗HIV薬の6製品を日本国内での独占的開発と販売するライセンスを締結しています。
特に売り上げの多いのが下記の4製品
- ツルバダ配合錠
- スタリビルド配合錠
- ゲンボイヤ配合錠
- デシコビ配合錠
これら4製品に加え、ビリアード錠、エムトリバカプセルの2製品があります。
これらの独占的開発と販売ができなくなると、鳥居薬品の業績は大ダメージを受けると予想できます。
なんといっても鳥居薬品の売り上げ約640億のうち、約200億円を占めるのがギリアドの抗HIV薬だからです。(2017年度)
売上の約3分の1をギリアド社創製の抗HIV薬が占めますね。
鳥居薬品の重点領域のひとつがHIV感染症領域
鳥居薬品の重点領域4つのうちのひとつがHIV感染症領域になっていますから、今回報道されているようにギリアド・サイエンシズとのライセンス解消は業績に与える影響はかなり大きいです。
重点領域である「腎・透析領域」「皮膚疾患領域」「アレルゲン領
域」「HIV感染症領域」に経営資源を集中し、持続的な事業成長と企業価値の向上を目指しております。引用元:鳥居薬品決算資料
しかも、2017年の決算資料を見てみると、鳥居薬品の重点領域4つ(腎・透析領域、皮膚疾患領域、アレルゲン領域、HIV感染症領域)のうちで一番売上が伸びているのが、抗HIV薬なのです。
ツルバダ配合錠とスタリビルド配合錠の売り上げは落ちていますが、それら2製品に変わってゲンボイヤ配合錠とデシコビ配合錠の売り上げが伸びています。
特に2017年1月から販売開始となったデシコビ配合錠の売り上げの伸びが著しいです。
鳥居薬品の売り上げ上位製品は?
鳥居薬品の製品別売上を見てみると、
- レミッチ(腎・透析領域)
- デシコビ配合錠(HIV感染症領域)
- ゲンボイヤ配合錠(HIV感染症領域)
- アンテベート(皮膚疾患領域)
- リオナ錠(腎・透析領域)
- ツルバダ配合錠(HIV感染症領域)
と続いていきます。
上位6製品のうち、3製品がギリアド・サイエンシズの抗HIV薬なのです。
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ギリアドとのライセンス解消でJTへの影響は?
JTの事業の柱は国内たばこ事業と海外たばこ事業です。
たばこ事業以外にも医薬品事業や食品加工事業がありますが、これらはJTの売り上げに占める割合はごくわずかなのです。
2017年度のJTの売り上げ構成です。
売上の大半が、国内たばこ事業と海外たばこ事業なのがわかります。
医薬品は5%、食品加工は8%しかありません。
営業利益でみても医薬品事業は全体の4%ほどしかありませんから、今回のギリアドとのライセンス解消は親会社のJTにとっては、株価が急落するほどの影響はないといってもよいのではないのかなと思うのですが。
鳥居薬品単体でみると売り上げの30%ほどを失うので厳しいのはわかりますが、JTにとっての影響は軽微とみています。
ギリアド・サイエンシズの戦略は?
2003年からJTと抗HIV薬の製造・販売の提携していましたが、今後は提携は解消される模様。
ギリアド・サイエンシズにとってのかつてのドル箱製品だったC型肝炎治療薬のソバルティ、ハーボニーなどの薬価の引き下げと販売数量の減少で業績が悪化しており、株価も伸び悩んでいます。
98%の確率でC型肝炎を治癒するといわれているハーボニーの薬価引き下げと患者減少による需要の一巡、競合となるアッヴィのマヴィレットではダメージを受けていました。
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そして、C型肝炎治療薬と並び、抗HIV薬はギリアドにとって事業の柱となっています。
抗HIV薬は飲み続けなければならない薬なので、安定的な売り上げが見込めますし、6年前からギリアドは日本法人を設立して進出もしており、抗HIV薬も自社販売にするのがよいとの判断したようです。
また2019年には新薬ビクタービの投入もできそうなのもライセンス解消の大きな理由です。
ギリアドの重点領域
ギリアド・サイエンシズの重点領域を見てみましょう。
- HIV/AIDS
- 肝疾患
- 血液がん・固形がん
- 炎症性疾患
- 呼吸器疾患
- 心血管疾患
これらを重点領域としています。
ギリアドといえば、肝炎治療薬というイメージがありますが、HIV・AIDSにも今後はより力を入れていく領域なのでしょう。
まとめ
鳥居薬品の親会社であるJTもギリアドもどちらも保有していますから、今回のライセンス解消の報道でJTの株価の大幅下落は正直なところ、うれしくはないです。
他社とのライセンス契約しているものが、事業の大きな柱となっている場合のリスクについてはよく考えて投資しなければいけませんね。
他社製品のライセンス利用している商品が事業の柱となっている企業というのは他にもありますし、実際に投資もしていました。
しかし、一方的なライセンス料の大幅な値上げもされたことで収益悪化するのは必至で危機感を感じ、某企業への投資に少し不安を覚え撤退したわけですが、今度は想定外だったJTでライセンス解消となってしまいました。
他社製品のライセンス利用している商品が事業の柱となっている企業への投資というのは注意しなければいけませんね。
[最終更新日]: 2018/12/08