個人投資家に人気があると思われるFXですが、リーマンショック前はスワップ投資というものが流行っていた時期がありました。
スワップ投資とは、高金利通貨を3倍くらいの低レバレッジで買って、長期間保有しておくことで毎日チャリンチャリンとスワップポイントがたまっていくという投資法です。
保有している間はチャリンチャリンと毎日のようにスワップ金利が受け取れるので、株式投資でいうところの配当金のような感覚でしょうか?
もう10年ほど前のことなので、あまり覚えていないけれども生活費を高金利通貨のスワップで補っていた人もいた模様。
人気があったのは豪ドルでした。
スワップポイントで生活するということで、大変うらやましかったことを覚えています。
だけど、間もなくしてリーマンショックが発生して超絶円高に!!
残念なことに多くのFXスワップ長期投資家のブログの更新が止まってしまいました。
買値にもよるのだろうけれども、レバレッジ3倍とかでもロスカットされていた人もいたようです。
リーマンショックの時に思ったのが、やっぱりレバレッジをかけた取引はFXに関わらず、株式の信用取引なども怖いなということです。
2018年8月には政策金利が17.75%のトルコリラが急激に下げています。
高金利なので、スワップ取引をしていた投資家はかなりの損失を被っていることでしょう。
いくら高金利通貨だといっても、新興国の通貨への投資は控えておくか、少額にとどめておくことをおすすめします。
目次
FXスワップ長期投資は儲からない?トルコリラの10年間ほぼ右肩下がりの怖いチャート
ドル円やユーロ円などの先進国通貨ではなく、新興国通貨はちょっとしたことで為替が乱高下します。
中でも最近、個人投資家に人気があると思われるトルコリラ円のチャートが悲惨なことになってるのです。
出所:楽天証券
このチャート、怖すぎです。
スワップを得ることを目的とするなら、継続保有しているはずです。
もし、10年前にトルコリラを買って持ちっぱなしにしておくと悲惨な結果になっているでしょう。
高値が100円くらいで、最近は30円を割りました。
約3分の1になってます。
ということは、私が過去に損失率で最悪の結果を出した個別株と同じくらいトルコリラも値下がりしているのです。
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しかもFXは通常はレバレッジをかけて取引を行うもの。
レバレッジが高くなればなるほど含み損は雪だるま式に増えていきます。
怖いですね。
でも、こんなものでは済まされないですよ!
このトルコリラ円のチャートを掲載してから1年半後の2018年8月はどうなっているでしょうか?
出所:楽天証券
いかがでしょうか?
まさに阿鼻叫喚の地獄絵図のようなチャートになってます。
レバレッジをかけた取引をしていたらロスカット(強制決済)された人も多そうです。
1トルコリラ30円くらいだったのが、わずか1年半で約50%も価値を失い、2018年8月13日の時点では16円です。
怖すぎですよね?
今は16円くらいに落ち着いていますが、13日早朝は何とトルコリラは1ドル7.24リラま(リラ円では15円台)で売られ、過去最安値を更新しているのです。
トルコリラ急落の理由は?【2018年8月】
新興国通貨はトルコリラに限らず、長期保有には向きません。
上記のグラフを見ると、円でも長期に保有していてもインフレに負けています。
高金利通貨だというだけで安易に投資してはいけないです。
リーマン・ショック以降、新興国はドル建て債務を積み上げてきた。ドル高・新興国通貨安となると、ドル建て債務が雪だるま式に膨らむ。ファンダメンタルズからいえば新興国は悪い状況ではないが、『アキレス腱』を投機筋に突かれている印象だ。
市場の反応も過剰だ。トルコ向け債権を最も多く抱えているとされるスペインであっても、総与信額に占めるトルコの割合は4%台にすぎない。トルコリラ安で市場が不安定化し、欧州の金融システムにつながるというのは、行き過ぎた見方といえる。
もっとも、通貨安が進行しても利上げをしない状況を、トルコのエルドアン大統領は作り上げており、ある意味でトルコは「狙われやすい国」となっている。トルコ当局の政策を催促する相場になりつつあるとみることもできる。
引用元:ロイター
エルドアン大統領の存在がトルコリラ相場の重石であることは事実にせよ、それが8月10日に見られた急落の直接的な理由ではない。直接的な理由はトルコ政府によるアメリカ人牧師の拘束と、これに対するアメリカの報復制裁であった。具体的には8月10日、トランプ米大統領はトルコから輸入する鉄鋼・アルミニウムに課す追加関税を2倍に引き上げることを表明し、これがトルコリラ売りを加速させた。
中略
そもそも芳しい状態ではない「エルドアン政権の経済政策運営」と「対米関係」がリラ安の底流にあり、今回は「追加関税の拡大」というアメリカによる具体的なアクションがリラ急落のトリガーを引いたという理解になる。
引用元:ビジネスインサイダー
トルコの政策金利【2016年末】
トルコリラが個人投資家に人気があるのは、おそらくスワップ金利が高いからでしょう。
ゼロ金利の日本と比べれば雲泥の差というのが、下記のグラフを見てもわかります。
出所:外為ドットコム
これだけ政策金利が高いと、スワップも増えます。
現在の1日あたりのスワップどれくらいなのでしょうか?2017/1/11付のスワップ金利を見てみると、
- 115円(ヒロセ通商)
- 72円(SBI FX)
- 68円(楽天証券FX)
という感じになってます。
FX会社によってもスワップ金利は全然違うし、スプレッドも違います。
トルコの政策金利【2018年末】
出所:外為ドットコム
2018年に入ってから8%だった政策金利が突然引き上げられました。
普通なら考えられないことです。
トルコリラの高金利につられて安易に投資してしまうと、2018年8月におこったトルコリラ安で投資資金を失ってしまう可能性もあるということです。
今回のトルコリラのように突然の通貨安が発生した場合は、強制決済されてしまうと数年かけてコツコツ貯めたスワップも全て意味がなくなってしまいます。
1万トルコリラ保有でもらえるスワップ金利【2017年1月】
1トルコリラが30円だと仮定すると、1万通貨だと30万円必要。
スワップ金利は日々変わるものだけど、仮に70円固定でもらえるとすると1年間で25550円になります。
利回りで考えると8.5%になります。
これがレバレッジ2倍で取引すると、1年間で受け取るスワップ金利は51100円で利回りは17%に。
利回りだけで考えると、とても魅力的です。
個別株への投資では配当利回りが8%超えてるなんてことは、まずないですから。
だけど、利回りに惑わされずにトルコリラなどの新興国通貨への投資は慎重に行った方がよいでしょうね。
豪ドルでFXスワップ長期投資した結果はどうなった?
トルコリラのような新興国通貨ではなく、豪ドルでのスワップ投資をした結果はどのような状況になっているかは下記の記事に書いています。
投資開始時期はリーマンショック後の2009年頃です。
これが、結構増えていてビックリしました!
株式投資にしろ、FXにしろ、やり方次第ではしっかりと利益を出せるのだなと思いました。
スワップポイントだけで投資元本を回収できればあとはスワップをチャリンチャリンともらい続けるだけになるけど、難しいでしょうね。
関連記事 FXで豪ドルのスワップ金利を8年間もらい続けた結果は?
トルコリラ怖いなどとブログに書いてたのですが、何と夫がトルコリラを買っていて損していることが判明しました(^^;)
関連記事 【FX】豪ドルを10年長期保有。スワップポイントはどれくらい増えた?
10年間という比較的長期間スワップ投資をしていた結果から考えると、FXのスワップ投資よりも株式投資の方をやはり選びます。
まとめ
トルコリラのスワップ金利の利回りは確かに魅力的ではあるけれども、私は投資することはないかな。
FXはリスクが高いと思うし、やっぱり個別株投資が好きですから。
よく調べて納得して買った株を長期で保有して、のんびりと配当金をもらい続けるほうが私には合ってると思うし。
[最終更新日]: 2019/03/29