
レイ・ダリオの全天候型(オールシーズンズ)ポートフォリオを知っていますか?
世界のエリート投資家は何を考えているのか: 「黄金のポートフォリオ」のつくり方という本で紹介されているのですが、株式の暴落時でもかすり傷程度で済むポートフォリオのことを全天候型ポートフォリオといいます。
なんと、リーマンショックの発生した2008年のリターンが-3.93%ですから、かなり下落に強いポートフォリオなんです。
下落に強いポートフォリオなら、上げ相場の時のリターンは大したことないのでは?と思いますよね。
でも、そんなことないんですよ。
1984年から2014年までの全天候型ポートフォリオ(オールシーズンズ)の年利回りは9.72%もあるのです。
詳しいことはこちらの記事に書いてあります。
関連記事【リセッションに備える】レイ・ダリオのオール・シーズンズ戦略からポートフォリオを考える
さて、2020年は2月から3月下旬にかけて新型コロナウイルス感染症によるパニックで、株式市場が今までにないほどの速さで暴落しました。
ポートフォリオが焼け野原状態になった人も多かったのではないでしょうか?
私のポートフォリオも壊滅的でしたよ!
危機時に強いとされるレイ・ダリオの全天候型(オールシーズンズ)ポートフォリオのリターンはコロナショックでも有効だったのかを見てみましょう。
目次
コロナショックで世界中の株価は大暴落
2020年で投資歴16年目なのでリーマンショックも経験してるんですけど、今回のコロナショックは下落するスピードの速さに驚きました。
コロナショックでS&P500は30%以上の大暴落
米国市場でサーキットブレーカーが何度も発動するなど、株式市場はパニック状態でした。
サーキットブレーカー制度(サーキットブレーカーせいど、英: Circuit Breaker)とは、株式市場や先物取引において価格が一定以上の変動を起こした場合に、強制的に取引を停止させるなどの措置を行う制度である。
サーキットブレーカー制度-wikipedia
あまりの下げの酷さにスクショをとってたんですけど、NYダウが取引時間中に2000ドル以上下げてます。
1日でNYダウが10%下落するなんて通常では想像できませんよね?
ここから、まだまだ下げるんですから恐怖はすごかったです。
レイダリオのオールシーズンズ戦略はコロナショックでも有効だったのか?
結果を先に書くと、コロナショックでもレイダリオの推奨するポートフォリオは下落に強かったです。
先ほども書いたように、レイ・ダリオは個人投資家向けにリスクを取りすぎず、適度なリターンを出せるポートフォリオを提案してくれています。
ありがたいことですね。
そのポートフォリオはオールシーズンズ(全天候型)ポートフォリオといわれるもので、どんな経済状況でも対応可能なポートフォリオということです。
- インフレ
- デフレ
- 経済上昇期
- 経済下降期
どのような状況でもOKというもの。
ポートフォリオの構成については、世界のエリート投資家は何を考えているのか: 「黄金のポートフォリオ」のつくり方に詳しく書かれています。
コロナショック時のレイダリオの全天候型ポートフォリオとVOOのリターン
2020年1月から2020年4月末までの期間で比較してみました。
2020年3月下旬を底に4月はかなり株価が戻っていますが、リターンはどうだったのでしょうか。
ポートフォリオ1がレイダリオの推奨する全天候型ポートフォリオ。
ポートフォリオ2がS&P500のETFであるVOOです。
この2つのポートフォリオの2020年4月末までのリターンはというと、
- 全天候型ポートフォリオは-0.54%
- VOO(S&P500 ETF)は-9.30%
年初からの最大損失は、
- レイダリオの全天候型ポートフォリオが-7.48%
- VOO(S&P500 ETF)が-19.58%
レイダリオの全天候型ポートフォリオ(オールシーズンズ)の投資先毎のリターン
レイダリオの全天候型ポートフォリオの投資先毎の月別リターンを確認してみます。
VOO | BIV | BLV | IAU | GSG | |
---|---|---|---|---|---|
2020/1 | -0.04% | 2.51% | 5.32% | 4.62% | -10.61% |
2020/2 | -8.10% | 1.93% | 3.49% | 0.66% | -7.8% |
2020/3 | -12.46% | -1.55% | -1.93% | 0.00% | -30.39% |
2020/4 | 12.79% | 2.42% | 3.36% | 6.90% | -9.82% |
- 金ETFのIAUがコロナショックで大暴落した3月もかろうじて下げなかった。
- 商品ETFは2020年は4月までのどの月もマイナスでボロボロ
レイダリオの全天候型ポートフォリオの投資先毎の4か月間のリターンを見てみます。
- IAU(金ETF) 11.1%
- BLV(米国長期債券ETF) 10.48%
- BIV(米国中期債券ETF) 5.35%
- VOO(S&P500 ETF) -9.3%
- GSG(商品ETF) -47.69%
蛇足ですが、米国長期債券ETFであるBLVを米国長期国債ETFのVGLTに変更すると、もうちょっとリターンが高くなりました。
VOO | BIV | VGLT | IAU | GSG | |
---|---|---|---|---|---|
2020/1 | -0.04% | 2.51% | 7.29% | 4.62% | -10.61% |
2020/2 | -8.10% | 1.93% | 6.60% | 0.66% | -7.8% |
2020/3 | -12.46% | -1.55% | 6.42% | 0.00% | -30.39% |
2020/4 | 12.79% | 2.42% | 0.97% | 6.90% | -9.82% |
レイダリオのポートフォリオを参考にVGLTを購入していたので気になったので調べたのですが、3月もプラスで推移しています。
関連記事
リセッションに備えてVGLT(米国長期債券ETF)に追加投資
全天候型ポートフォリオは危機時には強いが万能ではない
リーマンショックでもほとんどダメージを受けず、コロナショックでもほぼ無傷のレイダリオの全天候型ポートフォリオ(オールシーズンズ戦略)は最強じゃないか?って思うかもしれません。
危機時にはかなり有効なんですけど、平常時はやっぱりS&P500の方がリターンが高いんですよ。
ポートフォリオ1がレイダリオの全天候型で、ポートフォリオがVOOです。
2011年からのリターンしか比較できなかったんですけど、やっぱりVOOが全天候型ポートフォリオを大きくアウトパフォームしています。
ポートフォリオの作り方は人それぞれ
レイダリオの全天候型ポートフォリオはかなり優秀なことが証明されましたね。
平常時でもかなりのリターンを得ることができるし、株式市場が大暴落しているときでもかすり傷程度で済んでます。
ただ、やっぱり平常時は株式100%(S&P500)の方がリターンはだいぶ高いですね。
2011年からコロナショックを乗り越えた2020年4月末までのリターンもS&P500の方が上回ってますから。
運用期間が長く取れる人は、リスクを覚悟で株式の比率を多くするのがやはりおススメです。
リスクをなるべく避けたい人はレイダリオの全天候型ポートフォリオのように債券の割合を多くしましょう。