
オイルメジャーといえば、下記の大手4社のことです。
- エクソン・モービル(XOM)
- シェブロン(CVX)
- ブリティッシュ・ペトロリアム(BP)
- ロイヤル・ダッチ・シェル(RDS)
この中で保有しているのが、XOMとBPになります。
石油メジャーの業績というのは原油価格に左右されるのですが、原油価格の推移などというものは予想できません。
シェール革命による供給構造の変化や再生可能エネルギー価格が次第に低下してくることでいくらでも原油価格は変わってきます。
その他にも原油価格を左右する要素は盛りだくさんですので、予測することなど誰にもできません。
実際にこの10年で原油価格は大きく動いてきました。
30ドル~150ドルまで実に幅広い値動きです。
原油価格に影響される石油メジャーの株式を保有継続するか、売却するか悩みます。
目次
XOM、BP、CVSの株価推移と原油価格
原油価格ほど石油メジャー各社の値動きは激しくないけれど、それなりに連動しています。
XOM、BP、CVXの3社ではシェブロンが好調ですね。
BPは一人負けという感じですが、メキシコ湾沖での原油流出事故(2010年)の影響もあるので仕方ないのかもしれませんが。
原油価格は何故これほどまでに変動するのか?
原油価格の変動幅はかなり大きいですが、どうしてでしょうか?
2008年7月には1バレル$147、同年12月には$30ですから変動し過ぎです。
経済産業省資源エネルギー庁に見解があります。
原油価格の形成には、足下の需要と供給を反映する需給ファンダメンタルズに加え、将来の供給に対する懸念、金融要因、地政学的リスクなどを反映するプレミアムが大きな影響を及ぼしたと考えられます。
引用元:経済産業省資源エネルギー庁
今回の白書では前回に続いて、需給ファンダメンタルズとプレミアムの2つの要因が、現在の原油価格に対してそれぞれどの程度寄与していたのかをモデル分析しています。その結果、?ファンダメンタルな価格は2008年第1四半期に既にピークとなっていたこと、?実績値がピークとなった2008年第3四半期(123ドル/バレル)のうち約60ドルがファンダメンタルな価格で、残りの約60ドルがプレミアムであったことが結論として導き出されました。
引用元:経済産業省資源エネルギー庁
世界の石油需要とパリ協定をめぐる動向
世界のエネルギー事情というのは変化しています。
1960年代までは石炭、その後に石油へと変わり、2回のオイルショックを経て地球温暖化対策のため1997年の京都議定書の採択やシェール革命、2015年のパリ協定と話題には事欠きません。
東日本大震災が発生するまでは、原子力発電はクリーンエネルギーともてはやされており25%を原子力発電でまかなっていましたが、今は2%ほど。
そしてまた火力発電(天然ガス、石炭、石油)が88%ほどを占めるようになりました。
世界の石油需要と供給に左右される原油価格
国際エネルギー機関(IEA)は2040年時点の原油価格について、1バレル64ドル~136ドルを想定しています。
石油輸出国機構(OPEC)は2040年までの見通しとして、先進国の需要は減少する一方、人口の増加に伴い新興国の需要は今後も増加する見込みだとしています。
ただし、再生可能エネルギー技術が進み、発電コストの低下したり、電気自動車(EV)や次世代環境車であるFCV(燃料電池自動車:水素で走る車)の普及が進めば、石油需要は下振れする可能性もあるとのこと。
再生可能エネルギーについて
再生可能エネルギーは環境の面ではよいのですが、発電コストの高さが問題になってますが、コストが低下してくるともっと普及するかもしれません。
再生可能エネルギーの中でも太陽光発電はFIT(固定価格買取制度)が導入されてから、太陽光発電に参入する業者が増えてきたのはよいのですが、将来的な問題点もあります。
それは大量のゴミ(太陽光パネルを含む廃棄物)。
いつかは廃棄しなければならない時期がきます。
この廃棄物の処分費用は相当なものになりそうなのだけど、処分費用をあらかじめ準備していない事業者による不法投棄の問題などが不安視されています。
また、パネルによっては有害物質を含むものもあるそうで、適切な処理をしなければ有害物質で汚染される可能性もあるのです。
何事もメリットばかりでなく、デメリットもありますね。
原油価格によって変わる石油メジャーの業績
XOMは原油価格が上向いてきた近年でも株価は上昇していませんが、石油メジャー各社の株価推移は原油価格にほぼ連動しています。
原油価格が高いところで推移すれば、石油メジャーの業績も良くなるので株価も高くなります。
石油メジャー各社は原油価格が低いときでも利益がでるように、損益分岐点を下げた経営をしているようですが経営の舵取りは非常に難しそうです。
バフェットは投資先は、バカな経営者でもなりたつ企業の株を買いなさいというようなことを言っていますが、石油メジャーはこれに当てはまりません。
今後の業績を左右するRRR(Reserve Replacement Ratio)
石油企業を評価する際に用いられる指標にRRRというものがあります。
RRR(Reserve Replacement Ratio)とは、企業が有する石油・ガス埋蔵量の会計期間内に追加された分を年間石油生産量で割ったものです。
これは石油メジャーに投資する上では非常に重要な指標で、100%以上あるかどうかはチェックしておいた方がよいでしょう。
100%を下回ってくると、将来の石油生産が継続されるかどうかはわからなくなってきます。
100%を超えているということは、生産分よりも埋蔵量は増えているということでとりあえず安心はできますから。
XOMのRRR
エクソン・モービルは2017年に生産量の183%に相当する27億石油換算バレル(BOE)の埋蔵量を追加したと発表しています。
2015年には22年ぶりにRRRが100%を切り、65%だったのですよ。
この時は他の石油メジャーも100%を切るところもありました。BPは61%でしたし。
原油・天然ガスの可採年数は14年となりますから、保有することに不安はありません。
BPのRRR
BPのアニュアルレポートによると、2017年に買収、譲渡を除いた場合のRRRは143%でした。
ちなみに2016年は109%で、2015年は61%です。
まとめ
原油価格に業績が左右される石油メジャー各社ですが、少なくとも現時点で保有先のXOMやBPを手放そうとは思いません。
ただ、将来的なことを考えると業績の読みにくい企業に投資するのもどうなんだろうかと迷うところもあります。
他にも投資先はいくらでもありますからね、悩みどころではあります。
XOMに関しては、上流から下流までの事業を行う安定感のある石油メジャーですし、連続増配も35年以上と満足できるレベルですが、追加投資したいかといわれれば、今の水準ではしないと断言できます。
[最終更新日]: 2019/04/26